「よし、小太郎ちゃんの服買いに行くべや」

「…」


寝転んだソファーから体を起こそうとしたら小太郎ちゃんが手を引いて助けてくれたのでそのまま立ち上がる。ポケットに煙草とジッポ、携帯に財布、車のキーが入ってる事を確かめた。


「まぁまだ秋入ったばっかだし浴衣でも平気だろ、小太郎ちゃん似合ってるし車ならすぐだしな」

「…」

「車?んー…なんつーの?鉄のからくり?鉄の馬?まぁ見りゃわかる!」


先ほどから持たせておいた小さなメモパッドに書かれた質問にあやふやな答えをしながら家を出る。これから行くのはデカいデパートだから服のついでに色々雑貨も見てこよう。本屋に児童用のひらがなドリルがあれば万々歳。

小さく辺りに目をやる小太郎ちゃんにほんとに何にも知らねぇんだなぁと思いつつ、マンションの駐車場に向かい見えた愛車を撫でた。

いつか出来る(であろう)嫁さんと可愛い子供の為にと先走って買っちゃったメタリックな黒いワゴン。通称ハニー。まさかコイツの初めての助手席が男だなんて…あ、涙出てきた。


「ハニーの椅子はふっかふかだぜ?くせになんなよぉ?」


涙をこらえてハニーに乗り込み助手席のドアを開けてやる。小太郎ちゃんに座る様に促せば恐る恐る腰を落ち着かせていた。

ハニーの処女はお前にくれてやるぜチクショー


(そんな小太郎ちゃんはシートベルトの締め付けを煩わしそうにしていた)



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