俺と神童が付き合って早三ヶ月、世間一般的に言う停滞期と言うものだ。俺達はまさしくその停滞期と言う底無し沼にどっぷり嵌まってしまっていた。
最近神童が冷たい。
いや、冷たいと言う表現は可笑しいかも知れない。声を掛ければ返事をしてくれる、話し掛ければちゃんと返事を返してもらえる、パスだって俺に出してくれる。
でも、笑顔がない。一応自分では笑えてると思ってるんだろうが、俺と話すときは笑顔がなくなっている。初めはどこか悪いのかと思っていたが、天馬や三国さん、剣城と狩屋、俺以外にはいつも通り笑いかけていた。俺だけ違うんだ。

「神童、」
俺はどうしたらいい?
「そう言えば最近、一緒に登下校、してないや、」
避けられてるのか?
やっぱり男だと嫌か?


告白したのは俺からだった。元々俺達は幼馴染みで親友だ。親友になる前、ただの幼馴染みの時から俺は神童が好きだったと思う。自覚したのが最近なものではっきりとしたことは自分でも分からないが、それでも、神童に親友以上の感情が向いているのは事実だった。
神童はと言うと、俺が自覚する前から俺が好きだったらしい。両想いなのに二人して気付かないものだから、今まで気づかなかった自分が恥ずかしい。
話を戻そう。
どうすれば、神童がまたこっちに振り向いてくれるのか、それが問題だ。
いや、もしかしたら、もうこっちを振り返ってくれることはないのかもしれないな、それでも、振り返ってくれるといいな、なんて、そう思いたいのに思えない自分が嫌い。

「霧野、」

後ろから、そう呼ぶ声を俺は間違えたことがない。暗闇の中でさえ間違えることはないだろうと、自分で自負しているからだ。

「神、童…」

ほら、やっぱり。
今一番会いたくない神童がそこにいた。

「一緒に帰ろう?」
「ああ、」

ニコリ、そう自分では笑えてると思っている笑顔を神童は作った。下手くそな嘘の笑顔。笑えないなら笑わなくていいのに、


帰り道、何でもない話をしながらただただ歩く。家が近いから帰り道はほぼ一緒で神童の家からもう少し歩くと俺の家がある。あともう少し、と言うところで、神童に止められた。

「霧野、」

腕をつかんで俺を呼ぶ。大して俺と神童の距離は離れてなかった筈なのに強く腕をつかんだ。その声は真剣で、それでいて泣き出しそうで、どう反応していいか分からない声で、表情だった。

「どう、かしたか?神童、」

とりあえず声をかけられて反応がないのは可笑しいので、疑問を投げ掛けてみた。どうかしたのは事実なので間違ったことを聞いてはいない。掴まれている腕が手加減はしているであろうがやはり痛い。その綺麗な傷一つない手の何処からそんな力が出てくるか不思議なくらい強かった、俺よりはあるかと問われれば同じぐらいと答えるのがベストだと俺は思う。それでも痛いものは痛いので、腕を離して欲しいと言えば、更に力は強くなった。それから、神童の顔が真剣さを増すものだから俺はとりあえず腕の痛みを感じながら黙っていることにした。




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