嫉妬心丸出しで牽制する話
爆豪勝己(ヒーロー×事務員夢主)
事務所に新しく入職した男と名前が仲良さげに話している現場を目撃した勝己。名前が自分以外の男と話していることにいい気はしないが同じ職場の同僚。話さない方が無理があると雑談には目を瞑ろうとしたが、次に聞こえて来た会話に青筋を立てた。「名前さんて彼氏います?」「え、いないけど…」「マジっすか!じゃあ今度飯行きません?」職場恋愛の為交際は隠していた二人。それが裏目に出たようだった。「んー、考えとく」「それって行く気がない人の言葉ですよね」「そ、そんなことないけど、」「なら空いてる日教えてくださいよ」近くで上司である勝己が静かにブチギレているとは露知らず、グイグイ名前を誘う男とただ困惑する名前。そして───「オイ」「わっ!?」「え」勝己が背後から名前の両目を片手で覆い、男を睨み付ける。「人の女に手ェ出すなや」「人のって、どういう…?」「どうもこうも、そのまんまの意味だわ。わかったなら失せろ」名前に見えないことをいいことに勝己は男に対して行儀悪く中指を立てる。男も流石に相手が悪いとそそくさ去って行った。「あの、いつまでこうされてるの…?」未だに目を覆われたままの名前が聞くと「んッ!?」返事ではなく何故かキスだけが返って来て視界が開く。ヒラヒラと手を振って歩いて行く勝己の後ろ姿を名前は顔を真っ赤にして見届けた。
轟焦凍(ヒーロー科×普通科夢主)
一番長い昼休み。焦凍は普通科の教室を訪れて名前の姿を探していると同じクラスの男女数人で何やら盛り上がっている名前を発見。「(仲が良いんだな)」そんな気持ちでいた焦凍だがあろうことか名前の隣にいた男が名前の肩に腕を回したのだ。「あ、名前は彼氏いるからそれはダメだって」困っている名前を見兼ねた友人がそう言うも男は「これぐらい友達としてのスキンシップだよな?」なんて言う始末。「あはは……やめてもらえると助かるかな」「何だよつれねぇなぁ。あーあ、名前に彼氏なんていなきゃなぁ」「その彼氏は俺なんだが」「え"ッ!?」ゆらりと嫉妬の炎を隠すことなく現れた焦凍にその男を始め周囲はどよめいた。そして名前の肩に回されていた男の腕を掴み「例え誰であっても名前は譲る気はねェし、名前にちょっかい出すなら容赦しねェ」と鋭い眼光で睨み付けて言えば男は掴まれた腕をパッと振り払い「ひ、ヒーロー科っておっかねぇのな」と言って教室を出て行った。「焦凍くん…」「悪い。早く二人きりになりたい」「きゃッ?!」一度湧き出た嫉妬心はすぐには収まらず、焦凍は名前を横抱きにして教室を出た。「一人で歩けるから!」顔を真っ赤にする名前が騒ぐのをスルーして堂々と廊下を歩く焦凍に、後に雄英の全学科共に『あのカップルにちょっかいを出してはいけない』という暗黙のルールが出来たことは二人は知らない。
鷹見啓悟(ヒーロー×一般人夢主)
ホークスの一目惚れで必死に口説き交際を始めてまだ僅か。浮かれに浮かれたホークスはサプライズで名前の職場まで迎えに行くことに。上空から名前が出て来るのを待っていると、名前と同僚だろう男が一緒にビルから出て来たのだ。その光景に少しだけモヤッとした何かが顔を出すも「いや、こげんことで嫉妬は情けなか」と知らないフリをしたのに羽根を伝って聞こえた「今から飯行かね?帰りは送るよ、車あるし」という言葉にモヤモヤ、もとい嫉妬心は一瞬にして爆発。名前が断りを入れるよりも早くホークスは二人の間に割って入った。「はーい、そこまで」「え!?」「ほ、ホークス!?」突然の登場に名前も男も驚いた。「名前さん、ちょーっとごめんね?」ホークスは名前の両耳を手で塞いで顔だけを男に向ける。口は弧を描いているが目は笑っていないまま「悪いけど、この人だけは譲れないんすよ。諦めてくれませんか」と言えば男は「え、二人は恋人か何か…?」と信じたくないという表情。「そうです。恋人です」「え……そんな」「って訳なんで名前さんには近付かんでくださいね。あ、あとこのことは他言無用で」低い声で睨み付けるように言えば男は肩を落として帰って行った。そこでようやく名前の耳を解放すると「何話してたの?」とこてんと首を傾げるので「んー、これからも同僚として仲良くしてあげてくださいって」ヘラヘラした笑顔で答えるホークス。「それよりこのあと飯でもどーです?」と誘えば名前は笑顔で頷いたので「じゃあちょっと飛びますね」と二人で夜空に向かって飛び立った。「(嫉妬したなんて言えるわけなかやろ…)」と何も知らずに景色を楽しむ名前を見てホークスはひっそりと独りごちった。
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