2人で出掛けたらカップルに間違われた話
爆豪勝己
おやつの買い出しに行って来ると伝えたところ、何故か勝己が「俺も」と同行を申し出たので二人で寮を出て買い出しへ。最初は緊張から上手く会話を繋げずにいたが「何で着いて来てくれたの?」「俺も何か食いてェ気分」「何買うの?」「ポテチ」と何気ない質問にもちゃんと答えてくれるから名前も緊張が解けるし、勝己も心做しか表情が柔らかく見える。お菓子売り場で「これと、あ、これも好き」「ンな食ったら太んぞ」「一気に食べないもん」「ハッ、どーだかな」「爆豪くんこそポテチばっかじゃん、しかも辛いの」「甘ェの好きじゃねンだわ」何だかんだ楽しく買い出しを終わらせてスーパーを出ると「ん」「ん?」勝己が手を出すので首を傾げたら「荷物、持ったる」と言うので「え、いいよ、重いもんじゃないし」「人の厚意ぐらい素直に受け取れや」「うー、でも着いて来てくれたのに申し訳ない」とウジウジしていたらスーパーから出てきたおばちゃんが「あらあら。かわいいカップルさんね」なんてにこやかに微笑んだので名前は一気に顔を赤くする。「あ、や、そんな関係ではなくてですね…!」知らないおばちゃん相手に必死に弁明する名前の隣で勝己が「ちったぁ意識しろや」とボヤいていたことは知らず、この後荷物は奪い取られてしまった。
轟焦凍
中学の友達と遊んだ名前は帰り道、見覚えのある赤と白を見つけた。「轟くん」「お」「轟くんも出掛けてたんだね」帰る先は同じなので自然と並んで歩く。途中に名前がコンビニに寄りたいと言うと焦凍も「着いてく」と二人でコンビニへ。会計中レジ横のホットスナックに目が行き「轟くん肉まん好き?」「ああ、嫌いじゃないな」「じゃあ半分こしよ」「いいのか?」「うん」そんなやり取りをしていたらレジのおばちゃんが「あら。仲のいいカップルね」とクスクス笑う。名前がそんな関係ではないと弁明しようとするより先に「違います」と焦凍が言うので自分が言うことはないか、と口を閉ざすと「今はまだカップルじゃないです」の言葉が焦凍の口から紡がれて驚いた。コンビニを出て半分割った肉まんを渡しながら「轟くん、さっきの、今はまだってどういう意味?」と問う。きっとそういう意味じゃない、言葉を間違えた、そう言った返事が来るのかと思いきや「そのままの意味だ。いつかはそうなりたいと思ってる」だなんて返事。「え…と」返答に困っていると「俺は名前とカップルに間違われてちょっと嬉しかったんだ」照れ臭そうに言う焦凍に嫌でも意識しないわけなんてなくて、半分こした肉まんの味はわからなかった。
鷹見啓悟
ホークス事務所事務員の名前。コピー用紙がないことに気付いて「文具屋で買ってきます」パトロールから戻ったホークスに伝えると「俺も行きますよ」と一人で大丈夫だと言う名前を押し切って二人で買い出しに。必要な物を買った帰り、キッチンカーでクレープが売ってるのを見つけて「名前さん甘いの好きでしょ。息抜きしましょ、奢ります」「そんな。クレープまで申し訳ないですよ」「いーんです。はい、所長命令。ね?」「わー、職権乱用だ」「何とでも」半ば強制でクレープ休憩を挟むことに。キッチンカーのおばちゃんは県外から来たらしく「美男美女でお似合いカップルだね。トッピング一つおまけね」だなんて嬉しそうにおまけをしてくれた。カップルじゃないのになと思う名前に対しホークスは「いやぁ、そう見えます?嬉しいなぁ」と返していて流石はNo.2ヒーロー、誰にも嫌な思いをさせない返しだと感心。クレープを食べながら歩いていると「さっきの話なんですけど」「?」「本当に付き合っちゃいません?俺たち」なんて言うので「冗談はやめてください」と笑いながら返すと「冗談でこんなこと言うと思います?前から名前さんのこと狙ってたんですよね」と真剣な琥珀色の瞳に見つめられて言葉を探していたら「好きです、名前さん」と真っ直ぐに伝えられて持っていたクレープを手から離してしまう。「え、と、」「お似合いのカップルになりましょう?」と剛翼で囲われて二人だけの空間の中で指を絡め取られては落ちない訳がなく。落としたはずのクレープは羽根によって落下を免れていたことなんてどうでも良くなった。
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