DV彼氏から女の子を奪うお話
爆豪勝己/プロヒ
「あんな男やめとけよ」何度言っただろうか。それでも名前は「離れられないの」の一点張りだった。彼氏から暴力を受けているのに自分の前ではそれを隠して笑う名前を見ているのが辛くなり、遂に名前の知らないところで彼氏を脅して二度と近付かないよう釘を指した。「最近彼から連絡来なくて、LINEも未読だし、潮時なのかな」そう相談してきたタイミングを逃さず「だァら、あんな男なんざやめとけっつったろ」と返し、彼氏に殴られて出来た唇の端の痣にそっと親指を這わすと名前がビクッと肩を揺らした。「…痛ェか?」「ううん、平気」「なァ、名前」「?」「俺ならぜってェあんな思いさせねェから。そろそろ俺んこと好きになれや」そう普段とは違って弱々しく言う勝己に「…あの人を今すぐ忘れられなくても?」「絶対好きにさせる自信あるわ」弱々しい態度から一転、勝ち誇った笑みを浮かべる勝己に名前はもう傾きかけていた。「……勝己くんを好きになりたい」「ハッ、任せとけ。一生守ったる」
轟焦凍/プロヒ
「焦凍くん、助けて…!」涙を流しながら助けを求めた名前。名前の腕には青あざがいくつもあった。「どうした?何があったんだ?」名前を抱き留めて優しく問うと「彼氏からのDVが止まらなくて…」「いつからだ?」「半年くらい前、」きっと名前の身体中に痣があるのだろう。こんな小さい身体でそれだけ辛い思いを抱えていたのかと思うと焦凍は早く助けてあげられなかった悔しさから下唇を噛んだ。「名前、あんなやつやめちまえよ」「でも、逃げても追い掛けられるの……逃げたらもっと酷くされるの…ッ」「大丈夫だ、俺に任せろ。もう指一本も名前に触れさせねェから」そう言い、名前からの証拠などを集めてDV彼氏を逮捕へ導く。後日それを知った名前が「焦凍くんのお陰で助かったよ、ありがとう」と告げると「ああ。良かった」愛おしそうに名前を見つめて笑う。「お礼したいんだけど何がいいかな?」「それなら名前が欲しい。ずっと好きだったんだ」焦凍の両手が名前の頬を包み込み、甘い声で告げられた言葉にノーと言う選択肢はなく「…わたしでよければ」と返した。
鷹見啓悟
名前が彼氏からDVを受けていることは知っていたからいつも「何かあったら俺に相談してくださいよ」と言っていたのに名前から相談はなく、名前の身体に痣が増えていく一方だった。「大丈夫だよ、ありがとう」そう笑う名前の表情に陰りがあるのを見逃すはずもなく啓悟はこっそり名前の彼氏を始末。そんなこととも知らない名前は「彼氏と連絡がつかなくて…」と啓悟に伝える。「いいんじゃないですか?だって名前さんに暴力を振るうような男だし」と言えば何で知ってるのか、と言いたげな表情の名前。「そりゃわかりますよ。好きな子のことなんですから」「…え?」「ところでコレ、例の彼から?」「え、はい」名前がいつも大切そうに付けていたネックレスはDV彼氏からのプレゼントだったらしく、それが気に入らない啓悟は「じゃあもうこれは要りませんね」チェーンに指を引っ掛けて容易に引きちぎる。「さっきも言いましたけど俺、名前さんが好きです。俺にしてくださいよ」と剛翼で名前を囲うようにし逃げ道をなくす。「あの人に傷付けられた身体だけどいいんですか?」恐る恐る問う名前に啓悟は傷が痛まないよう優しく抱き締めて「関係ないです。名前さんがいいんです」と額にキスを落として「新しいネックレス、買いに行きましょうか」と笑った。
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