付録目当てのゼクシィで結婚することになった話
爆豪勝己/プロヒ
帰宅すると名前は入浴中だったのでさっさと着替えを済ませると机の上には丁寧にラップされた晩ごはんと、その横にゼクシィが置かれていた。勝己は数秒それを見つめた後、手に取ってページを開いた。そして晩ごはんを食べ終わり、洗い物をしていると風呂から上がった名前が「おかえり。帰ってたんだね」と声を掛ける。「おう。俺も風呂行ってくる」「ん、行ってらっしゃい」濡れた手をタオルで拭いて名前とすれ違う瞬間「待たせて悪かった」と言い残すので名前は訳がわからず「??」と首を傾げた。タオルドライしながらリビングへ入ると机の上には『夫になる人』の欄がきちんと埋められたピンク色の婚姻届があって「え?ちょ、えッ!?」と更に訳がわからずパニックになりながら婚姻届を掴んで入浴中の勝己の元へ走る。「か、勝己!こ、こ、これ、」「結婚。すンだろ」「したいと思ってるけど、こんな、いきなり!?」「上がったらちゃんと言うから待っとけや」勝己は大きな手で名前の頭を撫でると静かに浴室のドアを閉める。残された名前の心臓は痛いくらいに脈打っていた。嬉しい反面で「付録目当てだったなんて言えない…」とこのことは墓場まで持って行こうとひっそり誓った。
轟焦凍/プロヒ
残業もなく、珍しく名前より早く帰宅した焦凍。リビングの電気を付けると机の上に置かれたゼクシィが目に入った。「…お?」街中の広告でも、テレビのCMでも見たことがある雑誌。思わず手に取りそれを眺めていると名前が帰宅した。「あれ、焦凍早かったんだね」「名前、これ」「ん?あっ、出しっ放しだった」「結婚の雑誌、だよな?」「そうだけど付録が欲しくて買ったんだよね」「付録?」「そう。JILLのポーチ」「結婚しねェのか?」「え?」「俺なら名前を幸せに出来ると思う」「ちょ、ちょっと待って」「付録なんかより俺と結婚してくれ」「え、あの、」「してくれるのか?してくれないのか?」ゼクシィを持ったものすごい剣幕の焦凍に迫られ名前は「し、したい」と言うと焦凍の表情が柔らかくなって「幸せにするよ」と抱き締められた。
鷹見啓悟
仕事を終えて窓から帰宅するとリビングのソファーで名前がゼクシィを読んでいた。それを見た啓悟は緩みまくる口元も隠さないまま隣に腰掛けて、グローブを取った手を名前の腰に回す。「俺たち同じ気持ちやったと?」「え?」「日取りはいつがいいやろ。式は沖縄…いやハワイも捨てられん」「話が見えな「あー、こげんことなら早目に指輪用意しとくべきやった」「あの、啓悟?」困惑する名前を余所にペラペラと喋り続ける啓悟は早すぎる速さでSKやエンデヴァーにまで結婚すると連絡を入れていた。「啓悟、わたし…」「そう言えば今月号の付録、名前が好きなブランドやろ?付録なんかよりもちゃんとしたもんプレゼントするったいわ」後日そのブランドの化粧品をプレゼントされ、更に後日には大きなダイヤの付いた指輪を薬指に嵌められ、雑誌は付録目当てだったなんて言えなくなった名前はこのことは内緒にしておこうと「幸せにしてね」と啓悟に伝えた。「もちろん幸せにするけん。やけん俺から離れんで」とキスされた唇が熱かった。名前は啓悟が早とちりで結婚まで持っていったと思っているが実は以前から早く結婚して専業になってほしいと考えていた啓悟は付録目当ての購入と知っていながらグイグイ押して外堀も埋めて結婚に漕ぎ着けたのだ。名前が己から逃げられないようにする為だなんて名前は知る由もない。
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