お外デート中に御休憩に誘ってみた話


爆豪勝己
ショッピングを楽しんだ後、街をぶらぶらしているとふと『御休憩』の文字が名前の目に入る。勝己とは1ヶ月ぶりのちゃんとしたデート、ソウイウコトをするのは1週間と少しぶり。女から誘うなんて、と思いつつも勇気を出して勝己の服の裾を軽く引いた。「あ?行きてェとこあるンか?」歩みを止めずに顔だけを名前に向けて言う勝己に名前は小さな声で「……休憩、しない?」とホテルの看板を指さしたら「ハァ?」と低めの不機嫌な声で返された。やっぱり女から誘うものではないか、と「あ、ごめん、やっぱりなしで…」と撤回しようとするとグイッと肩を片手で引き寄せられて「俺ァ、適当に見つけて適当に入ったホテルでお前を抱きたかねェんだよ」と言葉が降ってくる。その言葉に顔を上げるとニヤリと笑う勝己と目が合って「こちとらちゃんといいホテル調べとンだわ」と言われて逃げられないな、と悟った。「名前チャンもその気みてェだし、休憩といくかァ」何とも楽しそうな勝己に今更ノーなんて言えるはずもなく、勝己が調べてくれたいいホテルを楽しみに名前は歩きながら彼の肩に頭を寄せた。


轟焦凍
いつも身体を重ねるのはどちらかの家だった。久しぶりに外でデートを楽しんだ2人は繁華街をあてもなく歩く。繁華街ということは所謂ホテル街もあるわけで。目に入ったお城のような煌びやかなホテルや少し古びたホテル。出来心で焦凍とホテルに行ってみたいと思った名前は思い切って「ホテル、入ってみない?」と控え目に聞いてみた。「ホテル……」ぴたりと足を止めた焦凍はホテル街の方をじっと見つめた。「焦凍?」「名前は行ってみたいのか?」「えっ、あ、その」改めて聞かれると恥ずかしくなって視線をさ迷わせていると「あー……悪い。俺が行きたくなった」「え?」「名前のその顔見たら、我慢出来そうにない」と手を引かれてそのままホテル街へ。いろいろなホテルがある中で少し綺麗めなホテルに進む焦凍。入口を入った瞬間、まるで異世界に来た気分になり心臓がドクンと跳ねる。「緊張するな」「そうだね」「でも名前と新しいこと出来るのが嬉しい」「…わたしも」その後は現在のホテルシステムに2人で戸惑いながら選んだ部屋はめちゃくちゃメルヘンだった。


鷹見啓悟
少しだけヒーローが暇を持て余せる世界になった今、名前と啓悟は以前は出来なかったお外デートへ。街を歩いているといつしかラブホテルが並ぶホテル街。目に映る御休憩や御宿泊の文字やホテルに入って行くカップル。それを目で追っていると不意に上から「ホテル入りたいの?」とニヤリと笑う啓悟が問うた。恥ずかしさもあったけれど素直に「ん、啓悟と休憩したい、かも」と腕に寄り添って言い返せば先程の余裕の笑みはどこへやら。「へぁ!?」と面食らった啓悟は片手で顔を覆った。へなへなとその場に座り込む啓悟の顔を覗き込むように「どうしたの?嫌だった?」と聞けば顔を上げた啓悟と目が合って、腕を引かれて、「嫌なわけなか!さっきん言葉、俺以外の男の前で絶対言わんでよ」と照れた鷹に力なく睨まれた。「うん。言わない。啓悟だけ…」小さく言い返すと「はー……どんだけ俺んこと煽るん…」とまた溜息をついた。余裕のない啓悟は珍しいのでここぞとばかりに啓悟が喜びそうな言葉を発する名前だったが、ホテルの部屋に入ってすっかりスイッチが入った啓悟に先程煽ったことを少し後悔する程に抱かれることになるとは、この時の彼女は1ミリも知らない。

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