「キスして」っておねだりした話


緑谷出久
「キスしてほしい」言った途端、その言葉を理解して顔を真っ赤にしてズザザザー!と音を立てながら距離を取る。超絶ウブ男子。「え、待っ、え、今、なん…?!」顔どころか手のひらまで赤くなってるのでは?と思うくらいに照れて、言葉も上手く出ない出久が面白くて名前はクスッと笑っちゃう。「ごめんごめん。冗談だよ」と少しだけ残念な気持ちに蓋をしてそう言うと開いた距離を急に詰めてきて「ぼ、僕はしたい!」と顔は真っ赤なまんま、手を握って来て言うから名前も一緒に顔を赤くする。恥ずかしがり屋で慣れてない癖に真っ直ぐに気持ちを伝えようとしてくれることが嬉しくて「嘘、冗談じゃないよ。わたしもしたいと思ったから言ったの」と名前も精一杯気持ちを手を握り返しながら伝えれば「じゃ、じゃあ、するね…?」「…う、うん」とぎこちなく唇が重なる。この初々しさはしばらく続くが慣れたら「名前ちゃん、前みたいにおねだりしてごらん?」と意外とグイグイくる出久もいる。


爆豪勝己
部屋でテレビを見ている時に「キスして」と言ってみたら、勝己は名前の顔を見たまま数秒固まった。拒否されたり、されなくても一言目には「はァ!?」と言われるものだと思っていた名前は逆に拍子抜け。無言の時間が流れていく内にキスしてと言ったことがどんどん恥ずかしくなり「やっぱいい!」と顔を逸らしたら「こっち向けや」と顎を掴まれて勝己とまた向き合う形に。「してほしいンか」「…うん」赤い瞳から目を逸らせなくて言われるがままに頷けば、がぶりと噛み付くように奪われる唇。唇が離れた時にはお互いのソレにぽってりと熱が乗っていた。「あんまりそういうこと言うなよ」───我慢してんだわ、こっちは、と軽くデコピンされて勝己は飲み物買って来ると言って部屋を出て行った。最後に残された言葉の意味がわかる名前は心臓がバクバクして堪らない。キスより先の未知の世界へ進むのはもう時間の問題かも、と思うと更に頬が熱くなった。


轟焦凍
「焦凍くん。キスしてほしい」そう言えば焦凍は切れ長の瞳を大きく見開いて数秒固まった後「わかった」と言って名前を抱き寄せてキスをする。「名前から強請ってくるなんて初めてだな」キスの後で髪の毛を撫でながら嬉しそうに言うから恥ずかしいけれど伝えて良かったと思う。「もう1回」「え」「もう1回、さっきの言ってくれ」名前からのおねだりがよっぽど嬉しかったようで子犬のように少し上目遣いでおねだりのおねだりをする焦凍がどんな女子よりもあざとくて。きっと本人は無自覚なんだろうがそれがまたタチが悪い。それでも大好きな彼のおねだりを断る選択肢なんてないので先程より恥ずかしさは増したものの「キス、して…?」と言うと「可愛すぎだろ…」と1回目とは全く違う濃厚なキスをされる。


鷹見啓悟
この人は「キスして…?」と言うおねだりを聞いてから実行に移すのが超速い。ソファーで寛いでいるところに背後から名前が控えめに強請ってきたので顔を後ろへ反らして、片手で名前の後頭部を引き寄せて少女漫画ばりのキスをされる。あまりの速さに驚きとドキドキで顔を赤くしていると「名前ちゃんから強請った癖に顔真っ赤」ニヤリと意地悪く笑う。その意地悪い笑みすらかっこよくて「…ずるい」負けたような気がして悔しくなってそう呟けば「ずるいんは名前ちゃんでしょ。そげん可愛いおねだりしといて」名前の後頭部を撫でていた啓悟の手がそのまま頬へ伝う。「こんまま名前ちゃんのこと食べることも出来るけど?」きっとその意味はキスよりも先のことを指している。いつも余裕たっぷりの啓悟が少しだけ腹立たしくて「啓悟くんになら食べられたいと思ってるよ」と目を見て真っ直ぐ伝えれば、恥ずかしがり屋の名前からそんな返しが来ると思ってなかった啓悟は「…今のは反則やろ」とお互いに顔を真っ赤にした。名前は心の中で小さくガッツポーズをしたがこの後丁寧に戴かれた。

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