久々のデートが楽しみでメイクを変えてみた話
爆豪勝己
「おら、行くぞ」「……」待ち合わせ場所で顔を見たのに気付かないのか何も言わない勝己。勝己はこういうこと気付いてくれそうだと思ってたのになぁ、とちょっぴり悲しくなって勝己の三歩後ろを俯いて歩いていると、勝己が立ち止まったことに気付かずそのまま顔を彼の背中にぶつけてしまう。「痛ぁ…」「前見て歩かねェからだろ」と振り向きざまに言う勝己にムッとする。「なァに機嫌損ねてんだか。ちゃんと気付いてるわ」「え」勝己は名前に向き直って「化粧。そっちも悪くねェんじゃねェの」と言いながら顔にかかった横髪を耳に掛けてくれる。「気付いてたの…」ドキドキしながら問えば「俺を誰だと思ってンだ」とニヒルな笑みを浮かべてるから「わたしの、彼氏…?」と少しだけ意地悪く返してみる。すると「ああ、そうだわ」と前を向きつつ手を取って握ってくれるので嬉しくなって、勝己の僅かにニトロが香る手を握り返した。
轟焦凍
久しぶりに焦凍とデートだから、と張り切ってメイクを変えてみたけどよくよく考えればこういったことに疎い彼のことだから気付かないよなぁと期待しないでデートに臨む。目的地までの道のり、ランチ中、ウィンドウショッピング中などいつもより焦凍からの視線を感じるなぁと思う名前。キッチンカーでクレープを買って食べていても感じる視線に「わたしの顔、何か付いてる?」と聞いてみれば「いや、何かわかんねェけど、名前、いつもより可愛いなと思って」とクレープを頬張りながら真顔で言う。「実はメイク変えてみたの」「ああ、だからか」と焦凍は納得がいった様子。「気付いてくれたの嬉しい」「いつも可愛い名前が更に可愛いなと思ったら目が離せなくなったんだ。もっと近くで見ていいか?」なんてズイッと国宝級の顔面を惜しみなく近付けてくるからこっちが照れてしまい「く、クレープ食べてるから後でねっ」いちごとホイップクリームたっぷりのデラックスクレープにかぶりつくと焦凍はわかった、と少ししょんぼりした表情だったが素直だった。気付かないと思ってた分とても嬉しくて堪らなかった。
鷹見啓悟
剛翼をかなり消耗した啓悟から昼間のお外デートに誘われ二つ返事でOKした名前。普段は家で過ごすか外に出られても夜間飛行なので昼間の外デートは初めて。だから頑張ってお洒落してメイクも変えて待ち合わせ場所に行くとそこには既に啓悟がいた。剛翼がないと意外と街や人々に馴染んでる。「わ、名前さんめっちゃ可愛か!」「お外デート初めてだから張り切っちゃった」「そのバッグとネックレス俺がプレゼントしたやつ!付けて来てくれたん嬉しかよ」合流してすぐに頑張ったお洒落に気付いて褒めてくれることが嬉しくて表情がゆるゆるになる。こういうところも好きだなぁと思っていると「化粧もいつもと違うと?」「うん」「似合っとーよ。でも、」ニコニコ少年っぽく笑っていた啓悟が名前の腕を引いたと同時に年相応の男の顔に豹変。「似合いすぎて他ん男に見られとーない」「ン…!」と親指で名前のリップをグイッと拭った。啓悟の親指は赤リップがべったり。「せめて外ではいつものピンクのやつにして?」とゴツゴツした指の背で頬を撫でてくるから反論なんて出来ず頷くしか出来なくなる。
prev- return -next