hrak男子と一緒に過ごす冬
鷹見啓悟
「家まで送りましょうか?」「び…っくりした、」仕事終わり、偶然かはわからないが会社から出て来た名前の前に降り立ったホークスは両手を広げている。「嬉しいけど、寒いからいいかな」「え"ッ!?」断ると肩を落として落ち込むホークス。確かにこの季節に空を飛ぶのは寒いし名前は普段は普通のOLなので着ているものもホークスのように完全防寒ではない。けれど諦め切れないホークスは「俺、名前さんと会う為に頑張ったんっすよー!」と大袈裟に言うから「そんなホークスに提案。今日お鍋にしようと思うんだけど、お家来る?」名前からの思わぬお誘いに「行きます!」と即答。「じゃあ今から材料買いに行こ」と名前から繋がれた手を握り返して「肉は鶏がいいです!」と無邪気な笑顔で言う。「ホークスの好きなのでいいよ。お鍋食べて温まろうね」歩きながら言えば「そのあとはベッドで温めてあげますね!」なんて言うから「ここ外なんだけど」と軽く睨んだら「冗談ですよ」と肩を竦めてわざとらしく笑うホークスにちょっとだけきゅんとした。
轟焦凍
「今日一番の冷え込みなんだって」焦凍の部屋で炬燵に入りながらスマホのニュースを見ればそう書いてあった。どうりで寒いはずだ。「明日は雪かなぁ」「雪か…」「積もったら雪合戦しようね」「いいな」なんて冬ならではの会話を楽しみながらテーブルの真ん中に置かれたみかんに手を伸ばす名前。「炬燵でみかんって日本人って感じだよね」皮を丁寧に剥いて一粒の実を口に放り込む。「俺も食べてぇ」「ん」新しいみかんを差し出すと「…そうじゃなくて」と首を横に振り「名前が食べてるのがいい」なんて言ってくるので咀嚼途中のみかんを思わず飲み込んでしまった。「…新しいのあるのに?」「それがいい」「焦凍って意外と甘えただよね。末っ子ってそんな感じなのかな」とみかんを一粒取って渡すと嬉しそうに食べる焦凍。「名前だから甘えたくなるんだ」「ん"ッ…!?」みかんを咀嚼しながらそんなことを言うから心臓に悪い。でも好きな人と何気ない話をしながら炬燵でみかんを食べて過ごす冬はいいなと思った。
爆豪勝己
課題が終わらず居残りしていた名前。終わって帰る頃には暗くなっていて寒さも増していた。寮はすぐそこだがその距離でも容赦なく冬の冷たい風は名前の顔や耳、手や足を冷やした。「…おっせーな」「勝己くん」寮の共有スペースで勝己が一人ぽつんとソファーに座っていた。「もしかして待っててくれた?」「はぁ?」「デスヨネー」期待を込めて言うがそうではなかったらしく。名前は早く温まりたくて自室へ向かおうと歩き出すと「待てや」と勝己に手首を掴まれて阻止される。「な…に"ッ!?」「ハッ……ダッセェ顔」「はふひふんのへいでひょ(勝己くんのせいでしょ)!」勝己の大きな手のひらが名前の頬を挟んで離さない。「冷てェな」冷えていた頬が勝己の手のひらによって温められていく感覚が心地好くて自ら頬を擦り寄せてみた。「明日からは一緒に帰んぞ」「へ?」「こんな身体冷やして帰ってくんな、バカが」「ん…」鼻に触れるだけのキス。ようやく手のひらが離れたがいつになく優しい勝己の言動に体温が上がりっぱなしの名前だった。
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