お花をプレゼントしてくれる話
爆豪勝己
ある日の夜急に勝己から今から家に向かうと連絡が入る。30分後インターホンが鳴り、到着した彼を迎え入れようとドアを開けると「…ん」「え?」挨拶も言葉もなしに突き付けられた小さな花束に名前は目を丸くした。「お花?」「やる」「ありがとう。嬉しいけど今日何かの記念日だっけ?」戸惑いながらも花束を受け取りドアを閉めてリビングへと2人で向かう。「いいから黙って受け取っとけや」「うん。ありがとう」ピンクの花びらが映える花束。花とは疎遠に見える彼がプレゼントしてくれた初めての花束を嬉しく思う。リビングに入ると勝己はソファーに座ってテレビのチャンネルを適当に動かしている。その横に座り花の名前をスマホで検索する名前。「これブーゲンビリアなんだね。花言葉は……」「風呂借りる」「はーい」とさっさと風呂場へ消えて行った勝己。「…えっ」数秒後、ブーゲンビリアの花言葉を知った名前は勝己が素早く風呂場へ消えた理由を何となく悟った。言葉が少ない彼が精一杯伝えようとしてくれたことが一番嬉しかった。
ブーゲンビリアの花言葉:あなたしか見えない
※自分の中で一番は名前だよって伝えたかった勝己くん。
轟焦凍
一般人ながらいつも支えてくれる名前にお礼がしたくて冬美に相談していた焦凍。いくつか候補が上がった中で焦凍は花をプレゼントすることに。「これわたしに?」「ああ。いつもありがとな」「ありがとう焦凍。なんて言うお花なの?」焦凍が選んだのは花の栽培キット。9cm程度の苗。けれど肝心の花の名前はない。「花が咲くまでは秘密だ」「わかった。頑張って咲かせるね」とその日から名前はもらった苗を日当たりのいいところに置いて毎日かかさず水やりや手入れをし、そしてようやく花が咲いた。「この前焦凍くんからもらったお花、今日咲いたよ」『そうか。ちゃんと咲いて良かった』花が咲いたことを電話で報告。焦凍も嬉しそうだった。「これゼラニウムだったんだね」『他にも色があったんだが名前には赤を贈りたかったんだ』「色まで選んでくれたの?」『ああ。赤いゼラニウムの花言葉を知った時、名前に贈ろうって思えたんだ。名前がいるから俺は幸せなんだってことを伝えたくてな』「え、花言葉って……?」まさか焦凍が花言葉まで考えてくれているとは思わず、赤いゼラニウムの花言葉を問うた。そして返ってきた返事に名前は「わたしの方こそだよ」と泣きそうになりながらゼラニウムの花びらを指先で優しく撫でた。
赤いゼラニウムの花言葉:君ありて幸福
※名前がいるからこそ、俺は幸せでいられるんだって伝えたかった
鷹見啓悟
付き合い始めたばかりの時にミモザの花束をもらった名前。花言葉は『秘密の恋』でNo.2ヒーローと一般人が堂々と恋愛出来るものではないと理解していたけれど。ミモザがそれを如実に伝えているようでむず痒い気持ちだったことを覚えている。そうして付き合うこと2年が過ぎた頃「ただいまー」「おかえりなさい」半同棲している家に啓悟が珍しく玄関から帰宅した。「こっちからって珍しい…ね…?」啓悟を出迎えようと廊下に出ると剛翼にも負けないくらいの真っ赤な薔薇の花束を持った啓悟。「名前、いつも我慢させてばっかでごめん。でもこれからは隠さずに名前と生きていきたい」「え?え…?」差し出された花束を戸惑いながら受け取った。「啓悟?どういうこと…?」「俺には名前しかおらんと。やけん名前は俺のって言いたい」明日会見開いて公表する!と言い張る啓悟に名前はますます混乱。「う、嬉しいけど、公表するの…?」「うん。俺たち結婚しましたって言うったい」「はい!?」と名前は混乱を通り越してパニックに。そんな彼女を他所に啓悟はグローブを外してポケットから小箱を取り出した。「俺と一緒になってくれますか?」小箱の中にはダイヤモンドが輝くプラチナリング。断れない状況を作っておいてずるいと思ったが啓悟の左薬指にも同じ指輪が付いているのを見て「もう秘密じゃなくていいの?」「もちろん。これで漸く堂々と名前は俺のって言って回れる」目を細めて笑う啓悟に釣られて笑い、お願いします、と花束を握り締めて返事をした。
赤い薔薇の花言葉:あなたを愛してます
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