半分こする話


鷹見啓悟
No.2ヒーローであるホークスと一般人名前。お家デートでそういう雰囲気になってそのままベッドへなだれ込んだ。事が済みシャワーを浴びた啓悟がアイス食べたいと言うので身なりを整えて深夜のコンビニへ。「どれにしよ…」財布に優しいラクトアイスをじっくり吟味する名前に対し啓悟は何の迷いもなく税込みで一つ300円以上もするアイスを手の上にぽんぽんぽんと3つも重ねていた。「よくそんなに買えるね」「稼いどるけん」嫌味か、と言いたかったが名前が選んだアイスをレジへ持って行こうとすると横から手が伸びて来て流れるように奪われ「一緒んとこ帰るんやけん俺に払わせて」とさらっと会計を一緒にしてくれたので「…ありがと」だけ伝えた。コンビニから帰る途中「いちごとチョコブラウニーと季節限定の栗のやつ、どれがいいと?せっかくやし半分こしよ」「じゃあ栗」「いいよ。明日はチョコ半分こね」「…明後日はいちご?」「そ。全部半分こ」「啓悟、最初からそのつもりだったんだ?」最初から半分こするつもりで買ってくれていた啓悟が可愛くてクスッと笑う。「じゃあわたしが選んだのは明明後日に半分こしようね」「はは。楽しみが出来た」「そだね」そんな小さな幸せを噛み締める午前2時。


轟焦凍(付き合ってない)
その日は冷える夜だった。温かいものが飲みたくて談話スペースでソファーに座り、一人ココアを飲んでいた。テレビは深夜アニメやローカルな番組ばかり。「名前か?」「轟くん?」後ろから声がかかり振り向くとクラスメイトの轟がいた。「どうしたんだ?」「ちょっと眠れなくて、温かいものでも飲もうかなって」そう言えば轟は名前の隣に腰を下ろした。「…付き合う」「いいの?」「ああ。俺も寝付けなくてな」「そっか。ありがとう」とお礼を告げると「それ、美味いのか?」とココアを指差す轟。「美味しいよ。轟くんもいる?」「頼む」名前がもう一つココアを作ろうと立ち上がると「こっちでいい」と轟が名前の手からマグカップを奪い、一口飲んだ。突然のことに理解するのに時間がかかったがドキドキと高鳴る心臓に知らんぷりして「も、もう。それは恋人同士がするんだよ」と言えば「俺は名前とならそうなってもいいと思ってる」と真顔で返してくるもんだから名前は顔真っ赤っか。「ここに来たのは偶然だけど、名前がいたから俺もここにいようと思った」「も、いい。恥ずかしい…」純粋すぎる轟に名前はしばらく彼の顔を見れなかったが翌日、告白の返事を聞かせてほしいと轟に追い回される。


爆豪勝己
少し寒い日曜日。付き合っている勝己と久しぶりにデート。寮から一緒に行くんじゃなくてどこかで待ち合わせしたいという名前の要望で最寄り駅に11時待ち合わせに。駅に行くとそこには既に勝己がいて、嬉しくなって小走りになる名前。「ごめん、待たせちゃった?」「…別に」いつもと変わらず無愛想だなぁと考えていると「ん」とペットボトルが差し出された。「え?」「紅茶」「それはわかるけど…」「さみぃだろ。これ飲んでろ」と目線も合わせずに言われ、紅茶を受け取る。「ありがとう」「…ん」「わたしがミルクティー好きなの覚えててくれたんだね」「女は大体好きだってテレビでやってたンだよ!」名前の言葉を口では否定するも耳は赤くなっていて。「ふふ。ありがと、勝己」ともう一度お礼を伝えた。蓋を開けて一口飲めば甘いミルクティーがじんわりと身体を温めてくれる。「勝己も飲む?」「いらね」「だって勝己の方が先に来てたんだから、冷えてるでしょ」と何度かの押し問答の末に勝己が折れてミルクティーを一口。間接キスだぁ、なんて思う名前を他所に「あっま、」と呟く勝己。「けど、悪くねェ」と笑うのでその笑顔にきゅんとしながら「じゃあこれ半分こしよ」と提案すると「……しゃあなしな」と返してくる。

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