「ほ、ずきッ…や、ああッ…!」
「ッ……一緒に、イキましょうかッ…」
「あ、待っ……、あああああッ!!」
「くッ…!」
やっと吐き出された欲は名前のナカを一層熱くした。鬼灯は出し切るとそのまま彼女の横へ横たわる。互いに息を切らし火照る身体同士をくっつけるようにして抱き締め合った。
「ハァ……名前さん、大丈夫ですか」
「ッ…なんとか、」
既に2回目を終えた鬼灯と名前。特に名前はそろそろ体力の限界と眠気が同時にやってきて、いつもは丸く大きな瞳がとろんと眠たさを訴えている。
「さっきの最中で私のこと、呼び捨てで呼んでましたよね?」
「あ…あれは、とにかく必死だったていうか、その…えっと、」
「いいんですよ、普段も呼び捨てにしてくれて。その方が特別感ありません?」
「仮にも長年上司と部下だけの関係だったので、気が引けると言いますか…」
「ほう。私との関係は特別でないと?」
「そうは言ってません!! 」
甘さとは程遠いピロートークも程々に鬼灯は再度名前に覆い被さり、鋭い瞳をギラりと光らせた。まるで獲物を狙う狼のように。狼に狙われた彼女は不安を瞳に宿らせた。
「貴女が私を呼び捨てで呼ぶか、私がバテるのが先か。一発勝負してみましょうか」
「えっ!?むりむりむり!!ていうか、もう2回しましたし、3回目はもう…!」
「私はまだまだ元気ですよ 」
その言葉にチラリと鬼灯の鬼灯を見やると、2回も吐き出しているというのにまだ上を向いて硬さを保っていた。それを見た名前はサーッと顔から血の気が引いてしまいそうな気がした。
「わ、わかりました!呼び捨てにしますから…!だから今日はもう…」
「すみませんが、名前さんの嫌がる顔を見たらもう一発ヤらずにはいきそうもありません」
今は呼び捨てなんてどうでもいいです、とまで言い出した鬼灯はぺろりと舌なめずりをして怯える名前の頬にキスをした。
「やッ、明日も仕事で…!」
「それならご心配なく。名前さんの分は休みを取ったので」
「ひっ…!?」
用意周到な鬼灯により逃げ道を完全に塞がれた名前は、欲に塗れた狼をどうすることも出来ず、その後も2回に渡って抱かれてしまうのだった。一晩で4回にも及んだ行為のお陰で名前は腰を痛め、1日布団の中で過ごすはめになった。
「あれ?鬼灯くん、名前ちゃんはどうしたの?」
「名前さんなら今日は休みですよ」
「えぇ!?あの子が休むの珍しいね。何かあったの?」
「……いえ。少し腰を痛めたそうで」
「え、それって……」
鬼灯の意味深な言葉に翻弄される閻魔大王の姿があったのは、また別のお話。
2019 0309
mae tugi 12 / 13