×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -




「俺の目標は、いつかアンタの…なまえの作ったまともな料理を食べる事だ、」


見えた左頬は、夕日がさしているのかと思いたくなる程に真っ赤になっていて。包丁を持った右腕でそれを隠す様に俯いた斎藤さんの姿だった。
まとも、は余計だけど、それって…。つまり、

「あまり見るな。刺すぞ」
「…やだ、見る。もっと見る」
「やめろっ!危ない!それに、何をニヤ付いているのだ!俺とて何の気も無く他人に手料理など揮わぬっ!」
「あ、何の気無しって言っちゃってる!ねえ、それってどういう意味ですかぁ!やだ、嘘っ!斎藤さんって、わたしの事!?え?どうしよう!どうしよう!」

「…ならば訂正だ。あんたを肥やして食う為に料理を作ってやっている」

「ぎゃあ!」

「調子に乗るな」と、まだ少し赤い頬で微笑んだ斎藤さんに、胃袋も心も全部持っていかれた。どうやら、そう言う事らしい。
続けて「いつかの食卓で、スナック菓子をだされるのは遠慮したい」と、恥ずかしそうに言った彼は、どうやら下心が満載だったらしい。

「わたし!料理頑張りますっ!教えてくださいっ斎藤さんっ!」
「…途端にヤル気だな、」
「はいっ!わたしにも目標が出来ましたっ!」
「それは?」

「いつか斎藤さんに手料理作って、美味しいって言って貰えたら、伝えたい事がありますっ!」
「…………っ、」
「その時は、聞いてください」

わたしの言葉に息を詰まらせ、今度は耳まで真っ赤にした斎藤さんが頷いた。
明日、学校の帰りに本屋に寄って料理の基礎を学べる本でも買って行こうか。そして、またいつも通りのインターフォンに出て、こうして二人で並んで料理を作ろう。

そうすれば、わたしの食生活も改善されて、今度は斎藤さんと料理以外の話を沢山しよう。

「楽しみにしている…、」
「はいっ!」




専属下心料理人

(何故、じゃがいもの皮剥きも出来ぬのだ…身が半分も無くなっているではないか…)
(うう、わたしにもなにゆえこうなったのか…)
(これは途方も無いな…一体いつにあんたの返事とやらが聞けるのか…)
(え!?)
(口が滑った。忘れろ)
(嫌ですっ!)




前頁 次頁

bkm

戻る

戻る