「俺はもう腹が一杯故、代わりに食して欲しいのだが…」
「やった!え…本当に?わたしが貰ってもいいんですか!?」
「ああ、あんたが珍しくここに居たのでな。新八の胃袋に入るよりずっと良い」
「斎藤さん…っ、一生着いていきますよ…っ!」
「い、一生っ…!?」
「わーい!ご好意に甘えて……いざ!」

未だ固まったままの同僚と、大喜びのわたしと、静まり返った食堂内に永倉さんの「いらねぇなら俺にくれよぉおお!」の声と、沖田さんのバカ笑いが響き渡った。

「うう、おいしいです…」
「そうか。それはよかったな、」
「はい、ありがとうございます。斎藤さん」
「また…プリンが付いて来たら、OLさん…あんたに、その…」
「ああああ!!もうこんな時間!湯のみ洗わなきゃ!」

小さな声で何か言いかけた斎藤さんを遮る様に声を上げると、急いでプリンを口に流し込んだわたし。それを同僚と同じく口を開けてみていた斎藤さんは「ご馳走様でした!!!」とプリンを食べ切り、お弁当箱を引っ掴んで席を立ったわたしを最後まで見ていた。


「では!わたしはこれで!」
「あ、ああ…焦って転ばぬ様気をつけろ…」
「はい!」


あああ、斎藤さん。ちょう優しい。大好き。
今日一番の笑顔をお返しに、わたしは足取りも軽く食堂を出た。同僚達は未だ真っ白だったけど、まぁよしとしようか。

たまには、社員食堂もいいかもしれない!





餌付けとも言う

(あっははは!はじめ君傑作だったよ!あの顔!)
(煩いぞ総司。あんたはさっさと食え。昼休みが終わる)
(あのプリン大好きはじめ君がなぁー)
(そうだよなぁ。土方さんの次に斎藤があのプリン好きだったじゃねぇか)
(べ、別に…食うも食わぬも、俺の勝手だろうっ!)
(藤堂も原田も…いいじゃねぇか。みょうじもあんだけ喜んでたんだ)
(まああの笑顔だもんなぁ。プリンの一つや二つ惜しくねぇってもんだ!な、斎藤!)
(黙れっ!)


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