今わたしは、丁度その境目にいるのだと。そう言ってくれた。
斎藤さんも、やっぱり高校生だった頃のわたしと恋人になるのに相当悩んだらしく今もそれが抜けないんだと言う。だからこそ、こうして逢っても一歩踏み出すのが出来なくてモヤモヤしていたらしい。
「これからはお泊りとか、旅行とか行きたい!」と言ったわたしに、やっぱり難しい顔をした斎藤さんだったけど「そうだな。分かった」と気合十分で頷いてくれた。
どうやらお仕事もゴールデンウィークを過ぎ、そろそろ一段落が着くと言っていたので、来週からはまた一緒に過ごせるらしい。


「ねえ、時間大丈夫…?」
「…着く頃には宵もたけなわだろうな、」
「あ、じゃあ斎藤さん」
「なんだ?」


大好きな人とわたしの間に境界線があり、今自分が其処に立っているのなら、

「子供流の解決の仕方教えてあげましょうか?」
「…余り参考にはなら無さそうだが、一応聞いておく」
「あのね、」

両方のルールを混ぜて、自分らしく歩いて行こうか。
言いたい事を言い合って、見付かるものだったあるんだと折角あっち側の斎藤さんが教えてくれたんだから。

「寝坊して遅刻確定したら、焦らずのんびり歩いて行くでしょう?それですよ!」
「………あんた、」






境界線の隘路

(あれ、やっぱり駄目?)
(…いつもその様な事をしていたのか)
(ご、ごめんなさい!)
(…いや、いい。もう過ぎた事だ。それより)
(はい、)
(いっその事、諦めて休むのはどうだ)
(え、)



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