「ここも違う、か…」
ゴロンの里と炎の神殿を一通り見回り、ため息をつく。 まあ元々どこにいるかも分からない人物を探そうというのだ。 そう簡単に見付けられるとは思っていない。
「あ!なまえ姉ちゃん!」
子供特有の高い声で呼んだ主は、火の賢者の息子のリンクだ。 どしどしと音をたててそばにやってくる。
「元気?」 「うん!」 「良かった」 「姉ちゃん、兄ちゃんは見つかったゴロ?」
彼は子供特有の素直さで問いかけてきた。 私は一瞬言葉につまり、リンクの頭を撫でた。
「まだだよ。まったく、どこ行っちゃったんだか…」 「姉ちゃん・・・」
リンクから手を離し、おそらく苦笑をした。
「元気だすゴロ!リンク兄ちゃんが姉ちゃんを一人にするはずないゴロ!」 「・・・ありがとう、リンクくん」
私もう行くねと背を向け、ゴロンの里を後にする。
(あんな子供にまで気を使わせて・・・)
まったく、自分にも彼にも呆れるばかりだ。
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