「それでは、なまえさま…」
「ええ。お父上にも宜しくお伝えください」
笑って言うと、ドレス姿のお嬢様は頬を染め、セバスチャンにエスコートされ部屋から出て行った。
「……はあああああ」
ぱたんと扉が閉まったのを確認して大きなため息をつく。
なんだかここ最近ため息ついてばかりな気が…。
「なまえーー!!!」
主にこいつのせいだな。
盛大な音をたてて部屋に入ってきたリンクを見る。
何だか半泣き状態だが大丈夫か?
「何あれ!?」
「あれってなんのことだよ?」
「さっきの!女の子!」
「あー、仲良くしてる伯爵の娘」
「何でいるの!!」
詰め寄られてるけどリンクが混乱してる分、逆に冷静になってくるなー。
「あのお嬢様がなぜか俺のことを気に入ってるみたいでさ。伯爵も娘を嫁に、って奨めてくるもんだからああやってたまに来るんだよ」
「〜〜!!!」
今度は頭をかかえだした。
リンクもなぜか俺を好き、らしいからあのお嬢様と会っているのが嫌なんだろう。
しかも相手はこっちに好意を持っているわけだし。
……誤解しない様に、言ったほうがいいか。
「俺はあの子と付き合うつもりも結婚する気もない」
「!!」
「当たり前だろ。なまえ子が嫁に行くまでは俺は結婚なんかするつもっ!?」
突然リンクが抱きついてきて、首もとに頭をぐりぐりと押し付けてくる。
なんだか悪いことをしたような気がして背中を撫でようとしたら。
「よかった…。浮気されたらどうしようかと…」
「ちょっと待て浮気以前に俺はお前と付き合ってすらいないだろうが!」
前言撤回。
俺は何も悪いことはしてない!
それ、お前の勝手な妄想だから。
(ん?誤解?)