嘘をつかない世界で 正しさばかりを探しているんでしょ?




あれから立体機動の感覚を取り戻す訓練と、欠けた知識を埋めるために勉強をし、今回の壁外調査に間に合うよう行動が進められた。
他の団員達には出自を誤魔化してあるらしく、壁外で見つかった事実は団長であるエルヴィンさんを含む一部の人達に止められた。

「もうだいぶ馴染んだんじゃない?」
「そう・・・ですか?」

中でもハンジさんはその好奇心旺盛な性格からか良く世話を焼いてくれた。
巨人に対する話で少々の暴走はあったものの、基本的には知的で優しい人である。
エルヴィンさんもリヴァイさんも他の団員と同じ様に接してくれているが・・・・。

どうやら、エレンくんには警戒されているようで。
挨拶や簡単な第三者を交えて会話はするものの、腰を据えて話をしようとしたり2人になるときは極力避けている・・・ような気がする。
前にハンジさんに相談したら「エレンもお年頃か〜」なんて冗談めかされてしまった。
避けられるのは少し寂しいが、正体不明な女が相手なのだから当たり前かと自分を納得させておく。

「なまえ、そろそろ時間よ」

ドアから顔を覗かせたのはぺトラだった。

「じゃあ、行こうか!今回はどんな巨人と会えるのか楽しみだよー!」
「ほどほどにお願いしますね、ハンジさん」

違う方向に意気込むハンジに、ぺトラと顔を見合わせて苦笑した。







ぽつぽつと木や建物が建っている平地を馬で疾走する。
今回私はリヴァイさんの班に配属され、エレンくんと馬を並べている。
この遠征はしっかりとした壁外調査ではなく、今度行われる壁外調査の下見のようなものらしい。
だから人員も最小限で壁からはそう離れず、走る距離もそんなに長くないとのことだがどこから巨人が現れるかはわからない。

「うわあああああああ!!!」
「う、右方から10メートル級2体接近!!」

早速現れたようだ。
人を何倍にもした容姿、大きな目や口、力の強そうな手足。
すべて人間を喰うためのものだと教えられた。

「離せええええ!!」

兵が一人、間に合わずにのそ体が真っ二つに噛み千切られる。
しかし何故か、私はその光景を見ても動揺することなく、それどころか頭が冴えて視界がクリアになっていく気さえした。



( や つ ら を こ ろ せ )



それは頭の中に響くような声だった。





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