あの日、部屋に閉じこもった君が見ていた本はなんだったのだろう



 
「・・・・・」

誰かの声が聞こえる。
瞼を持ち上げると、見慣れない天井が映った。

「あ、気付いたかな?」

その言葉と共に顔を覗き込んできたのは、髪を括った中性的な顔立ちの人。
メガネのレンズの向こうの瞳は無邪気そうに輝く。

「体の調子はどう?動かせそう?」
「・・・・」

矢次早に出てくる言葉に何かを返そうと口を動かすが、喉が擦れてうまく音にならない。
それに気付いてもらえたようで、コップに入った水を差しだされた。
上半身を起こそうとして、そこで初めて自分が包帯や手当ての跡だらけだと気付く。
それでも何とか体を起こし、水をいただいた。

「あ、の」

まだ擦れる声で問いかけようとすると、水をくれた人の後ろに立っていた金髪の男性に「その前に」と言葉を途切れさせられる。

「まずは無事でよかった。早速で悪いが、君の所属を聞かせてくれ」
「調査兵団員っていうのは違いないだろうけど・・・何班配属だった?」

ちょうさへいだん、はいぞく。

「あ・・・」

その時、部屋の唯一の扉から誰かが入ってきた。
小柄な男性と、金色の目の少年。
ふと一瞬視界がその金色一色に覆われて体が力を無くし、手を付く間もなくベッドから転がり落ちてしまった。

「ちょっ!大丈夫?」
「は、い」

次に目を開けた時にはすでにそんなことはなくなっており、ぐらぐらと頭が揺すられるような感覚だけが残っていた。
ベッドに上げてもらってから、全員の顔を一通り見て口を開く。


「ここは、どこですか・・・?」


その言葉に全員が目を見開いた。





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