いつもそう、置いていかれるだけの守られ方



 
ドオン!
大きな音をたてて巨体が倒れるのを見ながら樹の枝に足をつける。
倒した数を数える余裕もなく、ただただエレンくんとエルヴィンさんのところへ巨人が行かないよう殺す。
ブレードも残り少なく、ガスもけっして多いとはいえない状態だ。

「はぁっ、はぁ・・・」

荒い息を落ち着かせる間もない。
ふと共に戦っていたリヴァイさんとハンジさんの姿が見えないのに気付く。

(離れすぎたかな・・・)

ここは粗方ケリがついたし、二人を探すべきだろうな。


ドオオォン!!

「っ!?」


しかし突然体を襲った振動に足を滑らせ樹から落ちる。
地面にぶつかる前に何とか体制を整えようとして、その振動の原因が判明した。

「っぐ、」

ギリギリと強い力で締め付けられる。
さっきの振動はこの巨人が樹に体当たりをされたからのようだ。
しかし何の因果か。

(エレンを、食った・・・!!)

目の前のこいつは間違いなくエレンを食い殺したのと同じ巨人だ。
あの時、エレンではなく私が食われていればエレンは死なずに済んだのだろうか。

「・・・・・」

そんなことよりも、丁度いいのかもしれない。
これは愛する人を失い、違う彼に出会って傷つけ、掻き乱した代償だ。
ここで私が死ねば、彼も私も迷わなくて済む。
もうこれ以上、彼を困らせる事もないだろう。
巨人が大きな口を開け、死を覚悟した。


「オオォオオオオオォ!」


突如として聞こえた雄叫びに、さっきまでの死への感情はどこへ行ってしまったのか、涙が零れた。
次の瞬間目の前の巨人の頭が飛び、体の圧迫感がなくなる。
地面に落ちる前に受け止めてくれた大きな手はとても暖かい。

「エレンくん・・・」

巨人化したエレンくんは私を手に乗せたままじっと見つめてくる。
しかし助かったと思ったのも束の間、木々の間から再び数体の巨人が現れた。
エレンくんは私を軽く握って走り出す。

「エレンくん!戻って!!」

私の叫びは受け入れられないまま、巨人と交戦しながら森を進んでいった。





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