戻れないところにいるあなたを、今でもずっと嫌っている



 
私が初めてエレンと会ったのは、特別作戦班に抜擢されたとき。
まだ少年という言葉が相応しく、ほの暗い金色の瞳が印象的だった。
直情的な性格と聞いて上手くやれるか心配だったが、どこか熱くなりやすいもののそれでも先輩想いで、その身に余る力を持て余して悩むただの少年であった。

思えばそこからの展開は早かったな。
旧調査兵団本部でエレンの保護をして、兵団内にいる敵をあぶりだすために壁外調査に行った。
・・・そこで仲間を失って。
連れ去られそうになったエレンを助け出したはいいけど兵長が怪我を負って前線から引く羽目になってしまったり。
・・・・・・。

そんなときだ、エレンに告白されたのは。

部屋で一人泣いていた私に気付いて傍にいてくれて。
でもいつの間にかエレンも一緒になって泣いていたりして。
突然涙声で、


『オレは、なまえさんの隣にいたいです』


って言われたときは不謹慎にも嬉しかった。
でも今考えたら、仲間を失った直後にそれって少し卑怯な気もするな。

それから可能な限り一緒に時を過ごして、次々と仲間が失われていくのは悲しかったけど、とても幸せな時間を過ごしていた。
でも彼はもういない。
いや、私が彼の許からいなくなってしまったのだ。
何よりかけがえのない物を、この命の引き換えに失ってしまった。

「・・・・・」

だからこそ今回の壁外調査に名乗り出たのだ。
戦場だからこそ、死の恐怖を直に感じる場所であるからこそ、内に秘められた感情が素直に出てくるのではないかと思ったから。
ここからだと背中しか見えない彼の表情は伺うことはできないが、


「・・・・死なせたくない」


ただそれだけは、今の素直な想いだった。





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