喜ぶ姿の中にも憎しみが染み込み過ぎていて。



 
「はぁ・・・!」

第一陣と合流したところまではよかった。
その後、狙ったかのように巨人の群れが現れて陣形がバラバラにされてしまい、巨人と戦いながら逸れた仲間を探していた。
しかし、

「っあ!」

パシュンと軽い音と共に体が地に落ちる。
こんなときにガス切れだ。
陣に戻れば補給できるが―――。

ドン!

聞こえた地響きに立ち上がり必死に走る。
こうも巨人に追いかけられていては陣に戻ることもできない。

「そ、んな・・・!」

しかも辿り着いたのは崖。
巨人に追われ後退することもできず、絶体絶命だ。
でも降伏だけはしたくない。
ブレードを構えて奇跡を願う。


「オォオオオオォオオ!」


私に手を伸ばそうとした巨人を雄叫びと共に殴り飛ばしたのは、変わり果てた愛しい人。

「エレン!!」

巨人化したエレンは巨人を踏み殺した。
が、巨人が次第に集まり出しあっという間に囲まれてしまった。

(どうしよう、どうすればこれを切り抜けられる?)

確かな方法はひとつ。
私が囮になって少しでも巨人を引き付けている間にエレンに逃げてもらうのが今一番最良の方法だ。
今後のことを考えても、私が生きるよりエレンが生きる方がいいに決まってるのだから。
そんなことを考えていると大きな手に体を持ち上げられた。

「エレン―――」

聞いて、と続けるつもりの声は低く濁った声に遮られる。



「イ、イ”・・・オ」

(生き、ろ・・・?)



慌ててしがみ付こうとするよりも、エレンが私の体を崖へ放るほうが早かった。
こんなことをしてももうガスがなくて落ちることしかできないのに!
体が風を切って落下していく中で見えたのは、巨人たちがエレンに群がり――。


「――――!!!」


叫びも空しく、最後に焼付いたのは巨人がエレンのうなじに噛み付く瞬間。
そうして私の意識は闇に呑まれた。





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -