でもね、ほんとうはね、
(やっと・・・!)
大きな損害も出さず、あの森までやってきた。
とはいえ巨人はいつ現れるかわからない。
のでエルヴィンさんの好意でリヴァイさんの班で別行動をとるように指示を出された。
「全員、立体機動に移れ」
森に入ったところで、後続の班に馬を任せリヴァイさんの指示で全員が飛んだ。
あの場所の方向がわからないのでそのまま森の奥を目指す。
しばらく静かな森を進み、やがて開けた場所に出た。
「・・・!」
噎せ返るような花の香り。
間違いなく、ここだ。
リヴァイさんに頷きで合図をして花畑に足をつける。
他の班員は巨人が来ないか見張りのために散らばって行き、ここにいるのは私とリヴァイさんとエレンくんだけ。
そして僅かな記憶を頼りに倒れていたであろう場所を中心に花をかき分けて探す。
と、少しの時間をかけてそれはあっけなく見付けられた。
花の間に埋めていた手に何か冷たくて細い物が触れる。
ためらいなく手を引いた。
「・・・か、ぎ」
それは首にかけるための紐がついた金属の鍵だった。
ドクン!
心臓の音がこれ以上ないくらい大きく響き、目の前が白む。
「―――――――――!!!」
声にならない叫びをあげたのと同時に、その場に轟音が響き渡った。
ガンガンと痛む頭を無視して目を向けた先には、
「っは、―――」
一体の巨人。
あいつ、は。
ひとつの光景がフラッシュバックする。
途端、地の底から湧くような怒りと憎しみが思考を奪った。
お前が、
「おまえさえ、いなければ・・・」
「なまえさん!?」
力の入らない足を無理矢理立たせる。
するとその巨人は逃げるように再び森の中に走っていく。
「待―――!!」
追いかけようとしたが足の一歩を動かすことも叶わず、ふつりと意識は闇に沈んだ。