その涙は、体温と同じあたたかさだった




その人は壁の外で見つかったんだという。
見た目は普通の女の人。
ミカサみたいに背が高いわけでもなく、特別目を引く外見をしているわけでもない。
第一印象はおとなしそうな女の人。

そして、『記憶喪失』らしい。

名前以外何も覚えてなく、その着ていた上着からおそらく調査兵団員だろうと思われていたがそれすらもわからないと。
でもその人を発見したときは確かに巨人と戦っていたとか。

そんななまえさんと初めて言葉を交わしたのは、立体機動装置の使い方を覚えているか確認するための模擬戦の時。
一応年上(と、思われる)なので、敬語でなぜ刃を投げ捨てたのか聞いたのが最初。
それに対しなまえさんは納得いく答えをくれた。そして、

『さっきの、怪我はしなかった?』

そう言われたときは一瞬驚いて、そういえばこの人は知らないんだったと思い直した。
オレが”巨人になれる”ってことを。

次に驚いたのは壁外調査に行ったとき。
兵長伝いにその討伐数を聞いて、それまでのおとなしいイメージが一変した。

(強い・・・)

まだ人間の姿で討伐数がないオレにとって、少しの憧れになった。
そして助けてもらったお礼を言って、話をしたら泣かれた。
ありがとうと言ったその姿は、やけに鮮明に目に焼き付いた。

次第にミカサやアルミンやいろんな人と仲良くなって、なまえさんの周りは明るくなったように見えた。
いつの間にか目で追って、他の誰よりもオレが隣で笑っていたいだなんて気付いてしまったらもうそれが答えだ。

(この壁外調査が終わったら、)

なまえさんにこの想いを伝えてみようか。





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -