手を掴んだら離さない、それぐらいの勇気は持っているよ



 
跨ったまま、よろしくねという意味を込めて馬の首を撫でてやる。
扉の前にこうして馬に乗った兵がずらりと並んでいる光景は圧巻だ。

今から私にとっては2回目の壁外調査が始まる。
今回の壁外調査では、以前エルヴィンさんに頼み込んだのが通り、あの森を通過点としてもらえた。
しかし何度でもチャンスがあるわけじゃない。
何としてでも、今回あのなくしものを見付けなければ。
そうすればきっと、記憶を取り戻す手がかりになるはずだから。

「?」

ふと視線を感じて顔を上げると、ハンジさんがこちらを振り返っていた。

「どうかしました?」
「いや、最近調子悪そうだったし、大丈夫かなって」
「だいじょ・・・」
「ああでも早く巨人に会いたい!今日こそは奇行種に会えるかなぁ!?」

・・・心配はしてくれているんだろうけど、いつものハンジさんだ。
その隣のリヴァイさんがうるせぇとこぼしているが、ハンジさんの耳には入ってないらしい。

「でも本当に気を付けて下さいよ」

今度は私の隣に並んでいるエレンくんから声があがった。

「大丈夫だよ。エレンくん、最近心配性だね」
「なまえさんが無理ばっかするからです」
「そんなことないのに」

笑って言えばリヴァイさんに不憫なものを見る目で見られた・・・ような気がする。

「開聞10秒前!」

その掛け声にぐっと手綱を握る。
大丈夫、絶対に見付けてみせる。


「今より壁外調査を開始する!前進せよ!!」


そうして私たちは壁の外へと駆け出した。





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