ともに笑い合えない世界ならば沈んでしまえばいいのに、と。



 
ここはどこだろうか。
草原らしき草原と澄んだ空。
自分が夢の中にいるというのはわかる。
しかし私の数少ない記憶のどの景色にも当てはまらないものだ。

ふとそこに二人の人間が現れる。
一人は私だ。
今よりも僅かに髪が短く、調査兵団の外套を羽織っている。
もう片方は男性で、まるで靄がかかったように顔を認識することが出来ない。
はっきりとは聞こえないが何事かを談笑している。
と、

(!)

男性が私の手を握った。
さらに驚くべきは私がそれに応えるように握り返したということ。
まさか、こいびと、なのだろうか。
悶々とした気分になったところで後ろから声がかけられる。
目の前の二人は慌てて手を離した。
その様子に首を傾げ、後ろを振り向いたそこには、





「なまえ!!」
「っ!?」

勢いよく飛び込んできた光に一瞬視界が白み、次に現れたのは最近見慣れた天井と顔だった。

「魘されてたけど、大丈夫?」

心配そうなハンジさんの後ろでリヴァイさんが腕を組んでいる。
2人の姿を見て、渇いた喉で肯定の声を絞り出した。

「本当に平気?顔も白いし・・・」
「大、丈夫です・・・。すみません・・・」
「そう?じゃあ、エルヴィンに呼ばれてるから支度して」
「あ、の・・・ハンジさん」

そう言って部屋を出ていこうとしたハンジさんを呼び止める。
どうかした?と目を瞬かせるハンジさんに言葉が詰まり、「・・・何でもないです」と返すしかなかった。

「・・・・・・」

その間もリヴァイさんはずっと黙ったまま、結局最後まで言葉を発する事はなかった。





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