その目とこの目で見える景色はどうやら違うらしいね



 
時刻はもう夜になるが、ハンジさんの部屋を訪ねる。
ノックの後に聞こえた声はいつもと変わらず、就寝前だったようで安堵した。

「あれっなまえ?どうしたの?」
「あ・・・ちょっと相談したいことがあって」

その言葉にハンジさんは嫌な顔せず部屋にあげてくれた。

「それで相談っていうのは?」
「実は初めて見たときからそうだったんですけど・・・。エレンくんの目を見ていると、意識が引っ張られるというか・・・」
「恋?」
「違います!・・・記憶を取り戻すときの感覚と似た状態になるんですよ」

茶化すハンジさんに言い返すと、今度は逆に「何でもっと早く言わないの!」と怒られてしまった。


最初は、出会ってすぐの時。
怪我が完治していない状態だったからそのせいかと思っていた。
次は遠征から帰ってきたとき。
エレンくんの顔を掴んでしまう失態を犯したときだ。
その二度ほどではないものの、その後も何度か意識が引っ張られそうになることがある。
記憶を取り戻してはないけれど、いい加減その事象が無関係だとは思えなくなってきてこうして相談しにきたのだ。


「うーん・・・。関係があるって確証はないけど、それでも何もしないよりはマシかな・・・」

ハンジさんはうんうん唸っていたと思うと、ぱっと顔を上げた。

「とりあえず、エルヴィンに相談して試してみようか。こうして何もしないままダラダラ過ごすよりよっぽどいいしね」
「試す・・・って?」
「それはもちろん」

にっこり、満面の笑み。


「エレンの目を見つめて何か思い出せないかどうかをね!」
「・・・・・」


やっぱり、そうなるよね。
少し楽しそうなハンジさんに押され気味なまま、曖昧に笑い返すしかなかった。





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