届かない想いと指先の先に届くものなんてあるものか




打ち捨てられた廃村で戦闘は展開されていた。
リヴァイさんの指示で巨人を倒し続けているが、喰われたのか逸れたのか周りにいたはずの味方がだんだん少なくなっている。
少し離れた屋根の上にエレンくんと、さらに離れたところにリヴァイさんの姿が見える。
合流しようと動き出すと、同じことを思ったのかエレンくんも移動を始めた。
遠心力でぐっと体が高く浮いた瞬間、”それ”に気付く。

「エレンくん!!!」

エレンくんが飛んでいる真横から巨人が近づいてきていた。
それはその巨体に見合わずスピードが速く、ギリギリ追いつけるかどうか。
でもリヴァイさんやハンジさんにこの遠征が始まる前に頼まれたことがある。







『エレンくんを守る・・・ですか?』
『そうだ』
『それはもちろんですけど・・・』

何故そんなことを今改めて?

『あの子危なっかしいからさ、見ててほしいんだよね』
『はあ・・・』







結局その理由はわからず仕舞いだけれど、目の前にいる知り合いを見殺しにできるほど、私は何かを切り捨てる事はできない。
巨人に向かって思いっきりガスを吹かし、

「あああああっ!!」

その勢いのまま横顔に蹴りをする。
巨体がバランスを崩し傾いだところを、暇を与えずにうなじを削いだ。
シュウシュウと煙をあげる巨人を見つめていると、エレンくんが近づいてくる。

「なまえさん!」
「よかった・・・エレンくんが無事で」
「あんな無茶な・・・!」

しかしエレンくんはぐっと口を噤んでしまった。
その理由を問う間もなく、リヴァイさんから帰還命令が下された。





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