外の世界で出会った女の子は、神子っていう不思議な力を持っていた子だった。
02:旅立ち
「さっきは、にらんじゃってごめんなさい」
インパがいなくなった後、モニカは項垂れて言った。 リンクは害した様子もなく笑う。
「ううん、いいんだ!」 「ありがとう…」
モニカはほっと息をつくと、微笑んだ。
「わたしはモニカ。リンクが探してた神子っていうのはわたしのことだよ」 「ねえ、さっきから思ってたんだけど…神子ってなに?」
リンクが首をかしげる。 モニカが口を開く前に、リンクの帽子からふわりと光が飛んだ。
『もうリンクってば!ゼルダ姫の話聞いてなかったの!?』 「ち、ちがうよ!ただむずかしくって…!」
リンクが言い終える前に光はモニカの目の前に降りる。
『私、妖精のナビィ!リンクの相棒なの、ヨロシクね!』 「わあ…!わたしモニカ!妖精って初めて見た!とってもきれいね!」
モニカは目を輝かせてちょん、と指先でナビィに触れる。 ナビィはくすぐったそうに体を揺らした。
「神子っていうのはね、」
モニカはリンクに向き直る。
「三人の女神さまがこの大地をつくったとき、いちばん最初に生まれた人のことなんだ。わたしはその人の生まれ変わりなんだって、……ほら」
モニカが自分の胸元を示す。
「あ、これって…」 「聖なる三角形。トライフォースのマークだよ」
そこには三角形が三つ連なったアザのようなものがある。
「これが神子の"あかし"なんだって」 「へえー…」
まじまじとそれを見るリンクの図上でナビィがくるりと飛ぶ。
『もう!ほんとにわかった?リンク』 「なんとなくは」
はは…、と目をそらして笑うリンクにモニカもクスクスと笑った。
「あっ、そうだ」 「なに?」
首をかしげるモニカに、リンクが手を差し出す。
「これからよろしく、モニカ!」 「!……うん、よろしくね、リンク!」
モニカはリンクの手に自分のそれをやさしく重ねた。
「それじゃあ行こう!」 「うん!」
二人は手を繋いだまま、時の神殿を出ていった。
|