夢始まり
「んん・・・!?」
馬を全力で走らせてやっと壁が見えてきた。
が、壊された入り口は内側から何かで塞がれているようで、数体の巨人が入口付近をうろうろしている。
どうしたもんか、考えていると後ろのエルヴィンから声が飛ぶ。
「リヴァイ!ギルバート!壁を登って先に中へ入れ!」
「「・・・了解!」」
壁に程よく近づいたところでアンカーを白い壁に刺して勢いよく登る。
馬を残してきたが、人以外の動物には関心がないことは分かっているので心配はないだろう。
たどり着いた壁の上から下を見下ろす。
まず内地に近い壁付近に巨人が集まっているのが目に入る。
そして俺たちのすぐ足元にも巨人が二体おり、入り口に手を伸ばそうとしていた。
どうやったかは知らないが、もし塞がれた入り口を取り除かれてしまったら外にいた巨人たちが街の中に入って来てしまう。
そんなことを許してはいけない。
照らし合わせたようにリヴァイと同時に飛び降り、手を伸ばす巨人のうなじをそれぞれ剣で削ぐ。
大きな音を立てて倒れたその背中に着地すれば、入り口を塞いだ岩の前に三人の子供がしゃがみ込んでいた。
見慣れた茶色い上着に記されているのは二本の剣。
今期を卒業したばかりの新兵か。
「オイ・・・ガキ共・・・。これは・・・どういう状況だ?」
リヴァイが新兵たちに向かって声を投げかける。
つかその言い方じゃ凄んでるようにしか見えんぞ。
ため息をついて新兵の前に降りる。
金髪の子が抱えている少年は気絶しているようだった。
状況も聞きたいが三人とも結構戦ったようだし、なにより聞くならここを預かるピクシスの方が詳しいだろう。
「怪我は?」
俺の問いに金髪の子が恐る恐る口を開く。
「あ、ありません。でも、エレンが・・・!」
気を失っている少年はエレンというらしい。
「ガスは残ってるか?」
「はい・・・」
「そっちは?」
「・・・大丈夫です」
「よし」
傍らの少女も頷いたのを確認してエレンを抱き上げる。
「巨人が片付いたわけじゃない。急いで壁の上に上がれ」
不安そうに、でも言った通りに二人は壁を登って行った。
ふとリヴァイの方を向くと、視線が合ったリヴァイは舌打ちと共に壁を登って行く。
上から降りてくるリフトを見ながら、相変わらずコミュニケーション能力の低いヤツめと心の中で笑った。