いつか世界が滅びるその日まで
「見ろ!リヴァイ兵士長だ!」
「一人で一個旅団並の戦力があるってよ!」
「眉間の皺、増えてるぞ」
隣で馬に乗っているリヴァイはイライラした表情を隠すことなくこっちを睨み付けてきた。
「ガキ共が。ピーピー喚きやがって」
お世辞にも目つきがいいとは言い難いので、眉を寄せるととても近寄ろうとは思えない雰囲気になる。
そんな中で逆隣りの人物が嬉しそうな声を上げた。
「あの外に、巨人たちが・・・!今回はどんな巨人に会えるかな〜?奇行種なんかいたりしたらもう最っ高なんだけどな〜!」
「・・・奇行種ならここに一匹いるがな」
「えっ!?どこ!?」
そんなやりとりを見ながら苦笑する。
ふざけた様子だが、目の前の扉から一歩でも外に出ればもうそんな口を叩いてる暇も余裕もなくなる。
この壁の向こうは人類の敵の巣窟だ。
「ギルバート!リヴァイが酷いんだよもう!」
声に再びそっちを向くとリヴァイがハンジの頭を鷲掴みにしていた。
「リヴァイ」
「チッ・・・」
もう止めとけ、という意味を込めて名前を呼ぶと舌打ちと共に手を離した。
まったくもって素直じゃない奴だ。
ガコン、
大きな音に扉が開き始める。
さて、今回は何人無事に帰ってこられるか・・・。
「ギル」
「おう」
短く名前を呼んだリヴァイに頷きを一つ返し、強く馬の腹を蹴った。