また突き放すのか




 
鎧の巨人は宙に放り出されたエレンを掴むと器用に壁を降りて行く。
次いで聞こえたのはエレンの叫び声。

「このッ・・・裏切りもんがあぁあああ!!!」

巨人化したエレンは鎧の巨人を殴りつけながら落ちていった。
あっちはエレンに任せ、今は目の前のこいつを―――!!

「全員、壁から跳べ!!」

大きく薙ぐように振るわれた腕を跳んで躱す。
すぐに振り向くと、その手に何かを掴んでいるのが視界に入る。

「ユミルが捕まった・・・・・!」
「な!?もう一人捕まったぞ!!」

超大型巨人の手にはユミルと一人の兵が捕えられた。
そして大きく口を開け、

「食った!!!」

(――本当に、人間に与する気はないらしい)

ぐっと機動装置を握り、声を張り上げる。

「総員戦闘用意!!超大型巨人を仕留めろ!!人類の敵だ!!」

俺の言葉に兵が一斉に巨人に向かって行く。
こちらに向かってきた拳をガスを吹かして避けながらうなじへ向けて飛んだ。
やはりその巨体に対して動きはかなり鈍い。
これなら殺れる!


「今だ!!全員で削り取れ!!」


しかし、

ゴオォオオ!

「!!?」

途端にものすごい勢いで巨人から熱気が放たれ、後退を余儀なくされた。

「また消えるつもりか!?」
「いえ!様子が変です!以前なら一瞬で消えましたが今は骨格を保ったまま・・・ロウソクのように熱を発し続けています。このままあの蒸気で身を守られたら・・・立体機動の攻撃ができません!」

どうすればと戸惑うアルミンにハンジは待つ判断をした。

「3・4班、ラシャドの指揮で巨人の裏に回れ!」
「は!」
「2班はラウダに任せる。ここで待機だ!」
「了解です!」
「いつまで体を燃やし続けていられるのか見ものだがいずれ「彼」は出てくる。待ち構えてそこを狙うまでだ。いいか?「彼ら」を捕えることはもうできない。殺せ。躊躇うな」

ハンジの言葉にアルミンは何も返さない。
3年も寝食を共にした同期を殺せだなんて酷だとは思うが、ここでやらなければエレンが攫われて終いだ。

「アルミンと1班は俺とハンジに付いてこい!「鎧の巨人」をやるぞ!!」

そう、ここで止められなければ何もかもが終わりなんだ。




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