まだ君が生きているから




 
「目標の目星が―――」
「その一方で―――」

調査兵団幹部召喚の件はやはり保留扱いとなった。
この会議は、今作戦が調査兵団の独断によって実行されたことに対する是非を問うものだ。
未だ巨人の脅威にも立ち向かわず、逃げることしかできない奴らが何を喚いているのか。

「奴らは必ずいるのです。一人残らず追い詰めましょう。壁の中に潜む敵を、すべて・・・」

エルヴィンの言葉にニック司祭を睨む。
そこに大きな音を立てて扉が開いた。

「エルヴィン団長!!大変です!!」
「トーマ!?」

飛び込んできたのは、104期生を見張に着かせていたはずのトーマだ。
そして、彼の報告で展開は一変する。

「ウォール・ローゼが―――!!」







「荷馬車の準備を急げ!!」
「立体機動装置と刃の替えはこっちに――」

慌ただしく動き回る兵達をじっと見つめる。
アニ・レオンハートの共謀者がいないか調べるため104期生を見張らせていたのだが、その場所に巨人が現れた。
つまりウォール・ローゼが突破されたということになる。
トーマが持ってきた情報により、即席部隊が作られた。
当然俺は部隊の人員として選ばれ、今から前線へと赴くことになった。

「ギル」

気が付けばリヴァイが隣に立ち、こちらを見上げていた。

「どうし・・・リヴァイ?まさか、お前も行くのか?」

リヴァイは俺の上着を着て、手には小ぶりの銃を持っている。

「例の司祭が同行したいと言い出したらしい・・・。そいつの監視ぐらいならできるだろ」
「そう、か・・・」

立体機動が使えないため、当然外されていると思って安心していたのに。
その考えを見越したのか、リヴァイは小さくため息をついた。

「バカか」
「・・・わかってるよ」

お前が兵士だってことくらい。
それに見張りならおそらく前線までは同行しないだろうし。

「俺の分まで狩ってこい」
「はは、了解」

トン、と右の拳をリヴァイの左胸に押し付けた。




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -