虚無の真心の存在





「護衛班!ここはいい!状況を見てこい!」
「了解です!」

ナイルの指示で憲兵団の新兵が屋根の上を駆けて行く。

「ナイル・・・すぐに全兵を派兵しろ。巨人が出現したと考えるべきだ」
「な・・・何を言ってる!ここはウォール・シーナだぞ!!巨人なんかが現れるわけない!!」

しかしエルヴィンに正面から見つめられ、ナイルは気付いたようだ。

「・・・エルヴィン。お前・・・一体・・・何をしている・・・?」
「・・・・・。ギルバート、ここはいい。増援に回ってくれ」

隣でリヴァイがぐっと拳を握っている。

「・・・了解」

その手を撫で、俺は馬車に隠して積まれた立体機動装置を引っ掴んだ。








屋根に上ると状況がよく見渡せる。
どうやら女型は壁を越えて逃げる気らしく、一直線に壁に向かっている。

「そうそう上手くいくと思われたら心外だ・・・!」

素早くアンカーを刺し替え、一気に女型との距離を縮める。

ザッ!!

「ギルバート分隊長!!」

女型の肩を抉って視線を声の方へ向ける。
主に応戦しているのはミカサのようで、彼女はぐらついた女型の顔を浅くだが切り付けた。
しかし女型はすぐに走り始め、

「平地だ!」
「だめだ・・・アンカーを刺す建物がねぇ!!」
「回り込むしか・・・」
「遠回りしてたら逃げられちまうよ!」

とは言っても遠回りしか方法はない。
そのとき後ろから地面を響かせて女型を追ったのは、巨人化したエレンだった。
ハンジが息を切らせて隣に降り立つ。

「今回はうまく自分を保っているようだね」
「ああ・・・。今のうちに二手に分かれろ!何としても女型を確保する!」




エレンがなんとか女型の足止めをしている。

(くっそ・・・!間に合え!)

そんな思いと反して、エレンの手から逃れた女型は爪を壁に突き立て、巨人の姿のまま登っていく。
兵が立体機動で登っていくが到底追いつけない。
このまま壁の外に出すわけには・・・!

「ギルバート分隊長!」

追おうと足に力を入れた瞬間に声をかけてきたのは、今回の作戦の立案者でもあるアルミンだった。





ぐっと一瞬の浮遊感の後、女型の傍に辿り着く。
巨人化したエレンに、ミカサと共に投げてもらったのだ。

ドシュッ!

思いっきり女型の指を切断する。
ミカサが反対の手の指を切って―――。


「アニ。――落ちて」


女型は地に落ちていった。




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