雨が去った地面に残る




 
女型が前に飛び出したミカサに気を引かれている。
しかし後ろから斬りかかろうとしたリヴァイに気付いて拳と共に振り向いた。
リヴァイがその伸ばされた腕の上を転がるように斬り付け、その両手が沈むほど刃を目に突き刺した。

ぐらり、その体が傾いだところを俺が上から思いっきり切り付けていく。
最後に腿と踵を大きく削いで立てなくしてやった。
女型はとっさに樹に背をつけ腕でうなじを庇ったが、すぐさまリヴァイに脇の肉を削がれてだらりと腕が下りる。

「っし」

樹に足をつけたところで、ミカサが女型のうなじを狙って飛んでいるのに気付く。

「! ミカサ!」
「よせ!」

リヴァイと共に叫ぶがミカサはその速度を緩めない。
ミカサの横から女型の腕が襲う。
間に合わない・・・!!



ガンッ!!



鈍い音を立てたのはミカサではなく、


「リヴァイ!!」


庇うために飛び出したリヴァイの足だった。
リヴァイは一瞬歯を食いしばると一気に女型の顎を削ぐ。
ガコ、と外れた口から現れたそれを俺は咄嗟に受け止めた。

「エレン・・・!」
「オイ!!ずらかるぞ!!」

目的が達成されたのを確認したリヴァイは叫んだ。
ミカサがこっちに飛んで来るのを確認してエレンを抱え直す。

「大丈夫だ。多分生きてるよ」
「・・・作戦の本質を見失うな。自分の欲求を満たすことの方が大事なのか?お前の大切な友人だろ?」

リヴァイの言葉にミカサが何か呟いているが、俺は気になって女型を振り返る。

「!?」

女型が涙を流していた。
それは衝撃的な光景だったが、いつまでもこんな危険なところにはいられない。
俺達はエルヴィンと合流し、帰還した。





今回の壁外調査に掛かった費用と損害による痛手は、調査兵団の支持母体を失墜させるに十分であった。
エルヴィンを含む責任者が王都に召喚されると同時にエレンの引き渡しが決まった。




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