霞んだままの光のもと





予想通り、誰かが女型と交戦している。
女型はかなり傷を負わされているが、あの程度では足止めがせいぜいだろう。
走り出した女型を追うように人影が樹から飛び出した。

「待て!!」

追い縋ろうとするその人物をリヴァイが横から掬い上げた。

「同じだ、一旦離れろ」





「やっぱり速度が遅いな・・・。疲弊してきたか?」
「かもな。とにかくこの距離を保て」

交戦していたのは、審議にも参加していたエレンの幼なじみのミカサという少女だった。
咽る彼女はリヴァイを睨んでいる。

「うなじごとかじり取られているようだが、エレンは死んだのか?」
「エレンは生きてます」

リヴァイの言葉にミカサは間を開けずに言い返した。
それどころか、なぜか軽い口喧嘩のようなものを始めた二人に思わず眉間に皺が寄る。

「そもそも・・・」
「あーもう止めろ!そんなこと言い合ってる場合か!」

俺の言葉に二人は口を閉ざす。
次いでリヴァイに視線を向けると、覚悟を決めたように目を細めた。

「目的を一つに絞るぞ。まず・・・女型を仕留めることは諦める」
「ヤツは・・・仲間をたくさん殺しています」
「この状況で、あいつに硬化能力がある以上ほぼ無理だ。・・・エレンを諦めるわけにもいかないしな」

ミカサは再び口を噤む。

「エレンが生きていることにすべての望みを懸け、ヤツが森を抜ける前にエレンを救い出す」
「ああ」

リヴァイの言葉に頷いて返す。

「俺とギルでヤツを削る。お前はヤツの注意を引け」

返事はしなかったものの、ミカサはぐっと前へと飛んで行った。
それじゃあ、

「やってやりますか」

ぐっと上がる口角に、俺はまた気付かなかった。




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