冷たいままの雫が呟いた
俺達の戦闘も空しく、女型は巨人たちに喰われてしまった。
「やられたよ」
エルヴィンの呟きにリヴァイがキッと睨む。
「何って面だ、てめぇ・・・」
「敵には全てを捨て去る覚悟があったということだ。まさか・・・自分ごと巨人に食わせて、情報を抹消させてしまうとは・・・」
「・・・はぁ、くっそ・・・」
終わった。
作戦は失敗だ。
悔しがる暇もなく、エルヴィンは指示を飛ばす。
「総員撤退!!巨人たちが女型の巨人の残骸に集中しているうちに馬に移れ!荷馬車はすべてここに置いていく!巨大樹の森、西方向に集結し陣形を再展開!カラネス区へ帰還せよ!!」
思わずため息をつくと、横でリヴァイが口を開いた。
「審議所であれだけ啖呵切った後でこのザマだ・・・。大損害に対し実益は皆無」
「・・・エレンも俺達も、タダじゃ済まないだろうな」
「帰った後で考えよう。今はこれ以上損害を出さずに帰還できるよう尽くす。・・・今はな」
「・・・・・」
死骸から立ち上る蒸気でかなり視界が悪い。
これじゃ他の奴らがどこなのか見えづら・・・。
(見えない・・・?)
まさか。
最悪な可能性に気付いてしまった。
「俺の班を呼んでくる。奴ら・・・そう遠くに行ってなければいいが・・・」
「待・・・」
「待てリヴァイ。ギルバートと共にガスと刃を補充していけ」
エルヴィンも同じ考えに辿り着いたのか、俺と目を合わせると一つ頷いた。
「十分足りると思うが・・・なぜだ?」
「命令だ。従え」
リヴァイのマントの裾を引き、「後で説明する」と小さく言えば再びエルヴィンに視線を戻す。
「・・・了解だ、エルヴィン。お前の判断を信じよう」
さっさとガスと刃を補充してあいつらのところへ向かわなければ。
エレンが、再び狙われるかもしれない・・・!