君の行きたい場所へ





「お前を半殺しに留める方法を思いついた」
「・・・はい?」

リヴァイの物騒な物言いににエレンが首を傾げる。

「巨人化したお前を止めるには殺すしかないと言ったが、このやり方なら重症で済む」

つまり、うなじごとエレンを切り取ってしまえば死ぬことはない。
その際手足が切られてしまうかもしれないが、再び生えてくるだろうということらしい。
エレンは当たり前のように顔面蒼白だが、ハンジは怖いくらいに静かに目を見開いていた。





一度、自我を失った巨人になっても対処ができるよう枯れ井戸に入って巨人化する実験を行った。
が、それはなぜか失敗に終わる。
それを「命令だ。何とかしろ」だなんてのたまう男をどうどうと宥めていたら、急に後ろから爆発音が襲った。
エレンの腕から巨人の体の一部が生成されている。

「落ち着け」
「リヴァイ兵長、こ・・・これは・・・」
「そうだぞー。落ち着け、お前ら」

煙の向こうには、エレンに刃を向けた班員の姿があった。
その後、ハンジが現れたことで何とかその場を収めることができたが・・・。
エレンを落ち込ませるには十分な出来事だった。
そして推測により、巨人化には自傷行為だけでなく、何かしらの目的も必要なのではないかという考えに至った。
エレンが意図的に巨人化したわけではないことを知った班員達は、それぞれ自分の手に噛み付く。

「ちょっと・・・何やってんですか!?」
「いってぇ・・・」
「これはキツイな・・・。エレン、お前よくこんなの噛み切れるな」
「俺達が判断を間違えた・・・そのささやかな代償だ。だから何だって話だがな・・・」
「え?」

意図が理解できないエレンにオルオとぺトラが続く。

「お前を抑えるのが俺達の仕事だ。それ自体は間違ってねぇんだからな!調子乗んなよガキ!」
「ごめんねエレン・・・。私達って、ビクビクしてて間抜けで失望したでしょ・・・?でも、それでも・・・一人の力じゃ大したことはできない。だから私達は組織で活動する」

ぺトラはエレンと視線を合わせる。

「私達はあなたを頼るし、私達を頼って欲しい。私達を、信じて」









エレンはまだ悩んでいるようで、班員の顔と女型を交互に見ている。

「エレン!遅い!!さっさと決めろ!!」
「俺が前言ったことを忘れたか!?」

信頼されたいなら、まずお前が信じろ。


「進みます!!」


エレンの叫びに、班員達の顔に僅かに安堵が浮かんだ。




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -