月が近くにあるように




 
「クッ・・・この森の中じゃ事前に回避しようがない!」
「速い!追いつかれるぞ!!」
「兵長!!立体機動に移りましょう!!」

班員の言葉にリヴァイは何も返さない。
女型の後ろから現れた増援もあっという間にやられてしまった。

「兵長!分隊長!指示を!!」
「やりましょう!あいつは危険です!!俺達がやるべきです!」

しかしそれでもリヴァイは黙ったまま。

「リヴァイ兵長!?ギルバート分隊長!?」
「指示をください!!」

三度目の叫びにようやくリヴァイが動いた。
懐に手を入れたのを見て、後ろを振り返り喚き散らす班員達に忠告する。

「全員、耳塞いどけよ」

懐から取り出されたのは銃。
キイイイイイ!と甲高い音を立てて放たれたそれは森中に響いただろう。

「・・・!音響弾!?」
「・・・お前らの仕事は何だ?その時々の感情に身を任せるだけか?」

リヴァイが淡々と放つ。

「そうじゃねえだろ?この班の使命は、エレンにキズ一つ付けないようにすることだ。命の限りな」

俺の言葉にエレンは驚愕に顔を染めた。
監視の名目でこのリヴァイ班は作られたと思っているだろうから当然か。

「俺達はこのまま馬で駆ける。いいな?」
「了解です!」
「え・・・!?」

エレンが更に驚いた声を上げる。

「駆ける・・・って・・・一体どこまで・・・!?それに!ヤツがもうすぐそこまで!」

再び現れた増援も呆気なく死んでいく。
尚も戦う姿勢を見せるエレンに班員が前を向けと窘めているが、とうとう手を噛み切ろうとした。

「エレン。お前は間違ってない。やりたきゃやれ」
「兵長!?」
「俺にはわかる。コイツは本物の化物だ。「巨人の力」とは無関係にな」

力で抑え込もうとしても、その意志だけは従わせることができない。

「選べ・・・。自分を信じるか。俺やコイツら、調査兵団を信じるか」

その結果なんて誰にもわかりはしない。
だから自分の悔いがない選択を。

エレンが迷うように女型を振り返る。

「エレン。・・・信じて」

ぺトラの言葉に、数日前の出来事がふと過った。





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