気になるお年頃



ジュードがここに来て1旬が過ぎた。
最初は起きて部屋に誰かがいるのに違和感しかなかったが、それもなんとか慣れつつある。
最近ではジュードの方が早く起きてすでに朝食が用意してあることが多い。
やらせてばっかで悪いとは思うが、元々料理はそんなに得意ではないため、その好意に甘えている。

「ん、この資料どこだったか・・・」
「僕が取ってくるよ」

そしていつの間にか助手のような仕事までしてくれている。
助かってはいるが、一体どうしてこうなったんだ?

「どう?はかどってる?」

そこに外から戻ってきたバランが部屋にやってきた。
眼鏡をかけなおしてそっちに顔を向ける。

「変わんねえよ」
「あれ?ジュードはどうしたの」
「今やってるやつの資料取りに行ってる」
「ふうん?」
「何だよ気持ち悪いな」

にやにやという表現がぴったりな笑みをするバランに、遠慮なく罵声を飛ばす。

「いや?いい子でしょ、彼」
「お前と比べたら大精霊と魔物ぐらいの差だな」
「またそういうこと言ってー」

語尾を伸ばした話し方にイラッとしたが、こんなことでイラついていてはこいつの相手はできないため、すぐにその気持ちを頭から霧散させた。


「あれ、バランさん?」


ジュードが資料の詰まった本やファイルを抱えて戻ってきた。
バランは胡散臭い笑みのままジュードに返事を返す。

「やあ、どうだい?なまえといると勉強になるだろう?」
「はい。資料やデータもとても分かりやすいですし・・・」

またお前の仕業か。だからジュードはずっと俺について回ってるのか!
新たに発覚した事実に再び怒りが戻ってくる。
しかしバランはジュードの肩に腕を回して、こちらに聞こえないよう背を向けて何かを話していた。

「ちょ、バランさん!!」
「あっはっは、まあがんばってよ」

僕は楽しんでるから!と言葉を残して部屋を出て行ったバランと、困ったような表情をしているジュードにただ俺は疑問符を飛ばした。







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