あの日夢見ていたものが



恋の病とは的確な言葉だと思う。
病気のときのような発熱、眩暈に気怠さ。
かかってしまえばその症状に苦しみ、成就しても治ることはごく僅か。

そんな病を知らずに育った俺も、ある日突然それに患ってしまった。












「なまえ」

声に振り向けばマグカップを両手に持ったジュードが立っていた。
はい、と黒いほうのカップを差し出されて受け取ると、パネルを操作していたために冷えた手にその温もりが沁みる。

「悪いな」
「今度のデータの解析、手こずってるみたいだね?」
「反応が変動しててな・・・。もう少しおちつけないものか」
「うーん・・・マナの量が悪かったのかな。それともやっぱり化石の年月で必要なマナの量が変わってくる・・・?」

コーヒーをすすりながら、ジュードが覗き込んだ画面に目を戻す。
画面を見て唸りだしたジュードを見て、こいつに初めて会った日のことを思い出した。






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