悩み多き青年の主張



 
「最近避けられている気がするんだが、どう思う?」

バランのこんな疲れた表情は久しぶりに見たかもしれない。
またも久しぶりに顔を出したバランにそう言えばため息をつかれた。

「何だ・・・進展してるかと思ったらなに?心当たりは?」
「ないから困ってるんだよ」

とりあえず、バランにコーヒーを出しながら近況報告をする。
酷い時は夕飯の時にしか顔を合わせないこともあるぐらいだと。
するとさっきよりも大きなため息が返ってきた。

「はあああああ・・・・それが原因じゃないの・・・」
「?」
「なまえ、君思いっきり順番間違えてるじゃないか。いきなり寝込みを襲うって・・・」
「だから未遂だって言ってるだろ」
「君にとっては未遂でもジュードにとっては未遂じゃなかったんじゃないの?」

意味が分からずに黙るとバランは顎に手をついてコーヒーをすする。

「その時起きてたんじゃない?それなのにいきなりそんなことされそうになったら驚くでしょ」
「・・・なるほど、それはそうだ」

それなら説明がつく。
いきなり同室の男に寝込みを襲われそうになる・・・って・・・。

「・・・相当、まずいことをしたな」
「・・・今頃気付いたの?」

正直嫌われても仕方ないと思う。
自分でいきついた考えに落ち込むと、バランに肩を叩かれた。

「ま、でもジュードだって話せない子じゃないんだし。今まで一緒にいたんだから、君が軽々しくそんなことするやつじゃないって分かってると思うよ」
「そう、か・・・?」
「そんな落ち込んでたって何も始まんないよ?ならいっそ砕けてきたら?」
「不吉なことを言うな」

俺はひとつ息をつき、バランの肩を礼の意味を込めて叩いてからジュードがいるだろう研究室へと向かった。









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