無いものねだり




「そういえばー」

現在仕事のためにバランとマクスバードにいる。
いつかのような厭らしい笑みに嫌悪の眼を向ければ顔を覗き込まれた。

「明日ジュードの誕生日だけど、何か用意した?」

にやにや。
音が付きそうなほどの顔を殴りたくなる衝動を抑えてため息をついた。

「用意してる訳ないだろ。そのことを今知ったんだぞ」
「そんな事だろうと思った。今から何か買ってきたら?」
「は?今からここででリーゼ・マクシアの学者と面談だろ?」
「プレゼントを買う時間くらいあるさ。さあ行ってらっしゃい」

背中を押され、仕方なくショップの立ち並ぶ方へ足を向けた。











部屋に帰るころにはもう既に日付が越えていた。
バランの誘いに乗って飲んだ結果がこれだ。
別に飲むこと自体は問題ないのだが、お互い時間間隔が鈍ってしまい帰るのが遅くなるのが問題だ。
部屋に入ると真っ暗な中にテレビがついている。
まさかと思ってソファを覗くとジュードがクッションを枕に眠っていた。
手に持っていただろう、リモコンが床に落ちている。

「おい、ジュード」

体を揺するとすんなりと目を開けた。
俺を見てしまったという顔をする。

「なまえ、おかえり」
「こんなところで寝てたら風邪ひくぞ」
「いつの間にか寝てたみたい」

苦笑したジュードを見て、そういえばと思い出し懐にしまった小さな四角い包みを差し出す。

「これは・・・?」
「今日、誕生日だろう」

俺の言葉にジュードはばっと顔を上げた。
何で知っているのかと聞きたげな顔をするので、バランに聞いたと言えば包みを見つめる。

「何がいいのか分からなかったからな。たいしたもんじゃないが・・・」
「う、ううん!ありがとう!」

ジュードが包みを剥がす音を聞きながらコーヒーを入れるためにキッチンに入る。

「あっ、これ・・・!」
「前に俺のやつを使った時に使いやすいっ言ってただろ?インクも持ちがいいし必ず使うものだからな」

ジュードはペンを見つめて目を輝かせている。
研究者である以上ペンは必ず使うしこの間切らしていたからちょうどいいかと思った結果だ。
もう一度ありがとうと言ったジュードにコーヒーの入ったカップを手渡した。








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