弟のズルいトコ



「・・・・・・」

やっと寝たか。
ジュードの頭から手を離す。

ふと視線を上げると、少し離れたところに大きな背中が見える。
今日の見張りのアルヴィンだ。
そのまま手前に視線をずらすと他の奴らが睡眠をとっている。
とは言っても、子供以外は浅いものだろう。
もしも異常が起きた場合反応できないと不味いのだから。
そういう意味ではジュードはどちらかというと後者だ。
おそらくこの旅が始まってからそれが身に付いて癖になってしまったのだろう。

(こんなことになる前は、そんなことなかったのにな)

ジュードは自分の意思だと主張するが、俺から見ればミラに巻き込まれたも同然だ。
何よりも大切な弟をこんな状況に追いやったあいつを赦せるはずない。
それが分かっているからジュードは何も言わないし、ジュードが言わないからこそ周りも何も言わない。
その行動がいくら子供っぽくて呆れるものでも、ジュードの代わりに俺が恨むしかないんだ。

いつも目尻を下げて、「大丈夫」なんて笑って享受してしまうのだから。
だから何があっても俺が守らなくちゃ。

それこそが、この世界に存在するただ二人だけの――――。






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