いつでも一緒



「ジュード!」

ああまたか、そう思うのも仕方ないと思う。
おそらくそれは俺に対しての呼び掛けなのだろうが、呼ばれた名は俺のものじゃない。

「待てって、ジュード」

痺れを切らしたのか、同級生と思しき男に肩を掴まれる。

「何だよ?」

ため息まじりに振り返れば、男はやっと気付いたらしく、慌てて手を離した。

「わっ、リヒトだったのか、悪い!」
「………」

舌打ちしたくなるのを押さえ、さっさと目的地に向けて足を進めた。







「ジュード」
「リヒト。お待たせ」
「大丈夫」

イル・ファン、タリム医学校第5治療室。
部屋の中を覗くと、愛する弟が身支度を整え終えたところだった。

「何かあった?」
「ん?」
「機嫌、悪いでしょ」

疑問ではなく断定された言葉に嬉しくなってジュードを抱き締める。

「いつもの、だよ」
「また間違えられちゃったんだ」

ジュードは宥めるように髪を撫でた。
一つ言っておけば、別に俺は間違えられたことに腹は立てていない。

「どいつもこいつも気安すぎる」

ジュードがお人よしをそのまま人間にしたような性格だと十分に理解してはいるが、それにしたって馴れ馴れしすぎやしないか。

撫でられて苛立ちが治まり、肩口から顔をあげると同じ色の瞳が交じり合う。
ジュードは困ったように笑った。

「仕方ないよ、僕らは双子なんだから」

他人に言わせれば瓜二つ。
親でさえ遠目にはどちらか見分けがつかない。
それほどまでにジュードと俺は似ている。
互いが互いに見分けができるようにするつもりがないため余計にそうなっていた。

ふあ、と小さく欠伸をこぼすとそれを見てジュードは笑う。

「帰ろうか」
「おー…」

二人は手を繋いだまま、治療室を後にした。







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