ヒウンシティのセントラルエリアは公園のようになっていて、ポケモンを連れた人たちが多く見られる。
レッドがジムに挑戦している間ポケモンたちを遊ばせようとここにやってきたのだが。

「そりゃ目立つよな・・・」

イッシュでは俺のポケモンたちは珍しいらしく、とても目立つ。
本人たちはあまり気にしていないようだが・・・これはいいのか?

「・・・・!」

などと考えていると通りの1つから大きな声が聞こえてきた。
暇という状態も後押しして気になった俺は、膝で眠ろうとしていたピカチュウだけを連れてそのほうへ向かった。










「ふざけるなよ!!」

スリムストリートでは一人の少年が黒いポケモンに向かって怒鳴り声をあげていた。
かなり頭にきているのか、こちらに気付いた様子はない。

「お前のせいでアーティさんに負けたんだぞ!」

ポケモンはすっかり怯えきっていて俯いたままか細い声をあげている。
しかし、だな。

「ポケモン勝負ってのはポケモンが戦うもんじゃない。ポケモンとトレーナーが戦うもんだ」
「はあ?」

いきなり口をはさんだからか、少年はキッと俺を睨む。
俺は足元のポケモンに目を向ける。
傷だらけだ。おそらくジムが終わってポケセンに連れて行ってないんだろう。

「バトルで負けるってことは少年の指示が悪かったんだろ」
「なんだと!?」
「ポケモンはトレーナーの指示を聞いて動いてくれる。指示を聞いたのに負けたってことはトレーナーの指示が適切じゃなかったってことだ」

怒っている相手にこの言い方は火に油を注ぐようなもんだとは分かってるが、少年の行動にあまりにも頭にきたからな。
案の定少年は顔を赤くさせて今度はこっちに怒鳴ってくる。

「オレは悪くない!こいつが弱いのが悪いんだ!!」

その言葉にポケモンはますます首をたれる。
肩に乗った相棒が不機嫌そうに小さく鳴いた。
よし。

「バトルをしようか」
「はあ!?」
「どんなポケモンだってトレーナーの指示ひとつで変わる。それを教えてやるよ」

なあ、ピカチュウ?
ピカチュウは元気よく返事をして地面に降り立った。







理想論ではなく感情論で



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