タチワキジムを終え、次に目指したのはヒウンシティ。
ポケウッドとか言うのに声をかけられたけど俺もレッドも興味がなかったので断った。
しかしこの高いビル群は何度見ても首が慣れそうにないな。

「とりあえず部屋とるか、もうこの時間だとジムやってないだろうし」
「うん」

ただいま夜の9時。
今日はポケセンで休んで明日ジムに挑戦することにしよう。




こんな時間でもジョーイさんは笑顔で迎えてくれた。

「ポケモンセンターへようこそ!」
「部屋って空いてます?」
「はい。同室でよろしかったですか?」
「あ「はい」」

俺が返事を返す前にレッドが口を開いた。
こういうときだけやたら素早いやつ・・・!
「ごゆっくりどうぞ」というジョーイさんの言葉と共に鍵を受け取り、部屋へと向かった。






「明日、どうする?」

タオルを首にかけてレッドがシャワーから出てくる。
あーまた頭濡れたまま・・・。

「ジム戦なら先に行ってくれば?その間は時間つぶしてるから」
「そう?」
「たまにはポケモンたちもゆっくりさせてやりたいしな」

そう言うとレッドのピカチュウと遊んでいた俺のピカチュウが嬉しそうに鳴いた。

「じゃあ、そうする」
「おう、それよりレッド」

ちょいちょい。
手招きするとおとなしく近づいてくるレッド。
ベッドの縁に座らせ、俺は後ろに回ってタオルを奪う。

「髪ちゃんと乾かせよ。風邪ひくぞ?」
「ん・・・」

がしがしと痛くない程度の力で頭を拭く。
乾いてきたところで「よし終わり!」と手を離すとレッドがそのままもたれかかってきた。

「ちょ、おおお」

当然支えきれるわけもなく、そのままベッドになだれ込む。
レッドはごそごそと俺の顔の横に腕をついた。

「なまえ・・・」

レッドの眼に熱が籠っているのが見て分かる。
しかし、


「ストップ」


手でキスを遮るとあからさまに機嫌の下がるレッド。
そんなレッドにベッドの下を指差すと、俺が言いたいことが分かったのか苦虫を噛んだような顔をした。
そう、ピカチュウたちをボールから出したままなのだ。
彼女たちは頭がいいから気を利かせるかもしれないが、それはそれでどうなんだ。

「でも、」

ちゅ、

「このくらいはいいでしょ」

ついばむようなキスをしたレッドは嬉しそうにふわりと笑った。
「しょーがねえなー」なんて言いながらも、拒む気はない俺はきっとレッドに甘いんだろうなあ。







甘い言葉を耳元で



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