ザクザクと草むらをかき分けて進む。
あちこちでミネズミやヨーテリーが顔を覗かせては目が合うと慌てて身を隠してゆく。
のどかなこの道はどこか、古郷のような雰囲気にさせた。
やがて木々の中にぽつぽつと家が見えてくる。
目的地のカノコタウンだ。
「こんにちはー」
「あら!いらっしゃい」
研究所を訪ねると、すんなりとアララギ博士に会うことができた。
「初めまして、なまえです」
「ナナカマド博士から聞いてるわ。アララギです」
「こっちはレッド」
「…どうも」
レッドが小さく頭を下げる。
さっさとお使いを済ましてしまおう。
「アララギ博士、これが頼まれたものです」
「はい、確かに受け取りました。ありがとう!」
アララギ博士はそれをデスクに置くと、こちらを振り返る。
「じゃあレッドくん、図鑑を貸してくれるかしら?」
「…?」
「オーキド博士から図鑑のバージョンアップを頼まれてるのよ」
いつのまに。
ナナカマド博士、俺たちが発つ時は何も言ってなかったのに。
アララギ博士は図鑑を受け取ると、奥の部屋へと消えた。
「……とりあえず、どこから回ろうか?」
ヒウンで買ったマップを見ながらレッドに問いかける。
「どこでも。なまえに着いていく」
うん。
レッドは時々こうやってかわいいことを言うから困る。
「ならヒオウギに行ったらどうかしら」
アララギ博士が図鑑を手に戻って来た。
「イッシュリーグ公式の最初のジムがヒオウギジムなのよ」
「なら、そうします」
レッドはアララギ博士から図鑑を受け取った。
そろそろ行くか!
「ありがとうございました!」
「こちらこそ。ナナカマド博士やオーキド博士によろしくね!」
さあ、世界を愛そうか
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