How Merry Marry
「…?」
ピカチュウをブラッシングする手を止めてなまえの姿を探すと、彼女はカレンダーの前で固まっていた。
「なまえ?」
名前を呼ぶとびくりと肩を跳ねさせた。
急に話しかけられて驚いたのだろう。
「なに?レッド」
「カレンダーの前で動かないから…」
どうしたのかと思って。
最後まで言わずともなまえは理解してくれる。
伊達に長く一緒に過ごしていない。
なまえははにかんだ。
「もうレッドと出会ってから15年もたつんだなあって」
「ああ…」
そういえばもうそんなにたつのか。
自分が記念日とかそういうものに無頓着なのをなまえは知っているので、今さら怒られることはない。
「シロガネ山に籠ったときはどうしようかと思ったけど」
「…」
あのままヒビキがやって来なかったらきっともっとなまえをひとりにしていただろうな。
ピカチュウを膝から降ろしてなまえを呼びながら膝をたたくと、なまえは少し照れたように笑って控えめに膝に座る。
構わずぎゅうっと抱きしめた。
肩口に顔をうずめると彼女の甘いにおいが脳を刺激してくる。
「これだけ二人でいたんだからさ、」
「?」
「もうそろそろ一緒にならない?」
なまえが驚いた目で見つめてくる。
「僕と結婚してください」
How Merry Marry
(幸せになるための方法)
(きみは涙をうかべて笑った)
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大遅刻ですが15周年おめでとうございます!
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